姫の泣く夜

午前2時、真夜中─…

「こんばんはお姫様?」

次元はノックもせずに不二子の部屋へ入った。不二子はベッドの上で次元に背を向けたまま返事をした。

「……。何しに来たの?夜這い?」

「望みとあらばそうしてやるが…そうじゃねぇ。」

扉をゆっくり閉めながら次元は不二子のベッドに腰かけた。不二子は寝転んだまま動かなかった。

「お姫さんが怖い怖い夢に襲われて泣いてんじゃねぇかと思って…な。」

不二子の肩に手をかけ、こちらを向くようにゆっくり引いた。不二子は長い睫毛を濡らして、涙は頬を伝ってシーツを少し濡らしていた。

「ドンピシャってやつか。」

次元は不二子の目尻にキスを落とす。すると不二子は次元のネクタイを引っ張って、自分に覆い被さる形にした。

「怖かったんだから…っ。」

感情を押し殺した声に、真珠のような涙をいくつも落としながら次元の胸の中にうずくまる。次元は不二子の頭を撫でながら微笑んだ。

「よしよし、悪かったな。」

涙を流しながら不二子は「ばか」と何度も呟いた。
自分勝手だとは分かっていても、不二子は怒ることしかできなかった。

「心配しなくても、悪夢を見たときはおじちゃんがこうやって現れてやるよ。」

少しからかいながら言うと、不二子は顔を一旦離し、赤い瞳で次元を睨んだ。

「心配なんかしてないわよ、怒ってるの。」

そんな目で言っても、誘ってるようにしか見えねぇよ。
次元は心で呟き、誤魔化すように笑った。

「そうかい、そうかい。んじゃあ約束の印に…な。」

次元は不二子の唇に自分のを重ねた。角度を変えてもう一度し、唇を離すと首筋に赤い蕾をつけた。

「さて…誓いの儀式も終わったし、どうする?」

ニヤリと笑って次元は不二子を見つめる。不二子はまだほんのり赤い目のまま、少し笑った。

「どうせ止めるつもりはないんでしょ?このスケベ親父。」

そう言いながらも次元の頬に右手を添える。
次元はくくっと喉を鳴らして不二子を纏うシーツをはがす。

「確かにそうだ。お前さんにはカッコいい王子なんかより、これくらいがお似合いなんだよ。」

次元はゆっくり不二子のキャミソールの紐に手をかけた。


チュンチュン…

「ん…。」

朝日に照らされ、不二子は目を覚ました。隣には昨夜交わった男が右腕で不二子を抱きながら寝ていた。
無防備な寝顔を見ると、不二子は無意識に笑みが溢れた。

「ありがと、次元。」

次元を起こさぬよう、ゆっくり腕から抜けると不二子は近くにあったタオルで体を巻いて風呂場へ向かった。

パタン…


「……どういたしまして。」

不二子の隣で寝ていた男は、優しい笑みを浮かべながら近くに置いていた煙草をくわえた。


-fin-

◯内容が薄くてすみませんっ(汗)
また少しエロチックに
なってしまいました…(´`;)
でも(夢を見て)弱気な不二子ちゃんを
からかいながら優しく接する
次元を書きたかったので
少し満足です(^^)*

Thank you for reading!!


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