「どっかの誰かが言ってたんだけどね?」
「なんだよそれ、」

いや、言ってたような気がするんだけどね、と言い直すと、左吉は更に苦い顔をした。

「誰かが、僕のこと好きらしいよ」

びっくりだよね、と言って顔をみると、その横顔はさっきよりも苦しそうな表情だった。
ふと、その表情のままの口からよかったな、と消え入るような声が聞こえて、目を見開いた。

ほんとにそんな風に思ってるわけないよね?
なぜって、だって俺たちはお互いが好き合ってるということを知っているからだ。
まあ、その横顔をみればすぐに分かるんだけど。
ねえ、意地でも張ってるの?
お前のほんとの気持ちが聞きたいのに、その心の叫びが聞きたいのに。


「なーんちってね、」
うそだよ。


にかっと笑ってみせたら、ものすごい力で頭を殴られた。
不安にさせるようなこと言ってごめんね。
結局俺も、いつもびびってんだよ。








某曲聴きながら



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