暇なときは大抵漫画を読むか、どうでもいいことを考えて寝る。学校にいるときは教室の窓を通して空を見上げて、さらにどうでもいいことを考える。あの雲はあの形に見えるな〜とか、まあありきたりな感じの。それが案外楽しいというのは、誰も分かってくれないと思うけど。
つまり、暇潰しなんて人それぞれなんだよなあと思う。その人の楽しいと思ったことをすればいいだけだ。
だから、僕は今こうして半田にちょっかいを出しているわけで。


「あのさあ…」
「ん?」

髪をいじってると、ずっと漫画を読んでいた半田がやっと振り向いた。

「さっきから何してんの」
「半田いじり」
「やめろ!」
「なんでえ」
「なんかうっとおしい」
「ひど」

これも一応愛情表現のひとつなのに。わざわざ言ってやらないけど。

「だって暇なんだもん」
「じゃあなんで家来たんだよ!」
「あれ、呼んだのは誰だったっけ?」

家に来てくれ、と言われたわけじゃない。
というか、意地っ張りな半田くんは多分そんなはっきりとは言わないと思うけどさ。まあ、いつものように遠回しに誘われたんだけどね。
いつものようにこんな感じに聞き返すと、

「…別に呼んでない」

とね、こんな風に視線をずらしてごまかすんだよ。
まったく素直じゃない真一くん。そういうところが面白くて好きなんだけど。


「相変わらず意地っ張りだなあ〜っと」
「うわっ!?」

前置きもなく後ろから思いっきり抱きついてやった。
半田は基本的にスキンシップというのは苦手、って顔してるから一応確認。普段自分から来ることもないから。

「な、な、なん」
「抱きついただけじゃん」

横顔がすっかり真っ赤で体がぷるぷると震えている。どうやら僕の予想は当たっていたらしい。
かーわいーなあほんとにこの子は。


「は、離れろ!」
「あ、やっぱ苦手?確かめてみてよかった」
「わざとかよ!性格悪」
「あー聞こえない聞こえないー」
「こんの…」

殴りかかって来そうだったので、そのまま背中に抱きつきながら頬にキスしてやった。これも俺流の、世間でいう“暇潰し”なのだ。


「やっぱり半田は退屈させないね、いい暇潰しになるよ」

笑顔で言うと、さっきよりさらに顔を赤く染めて、何も言えないのか口をぱくぱくしている。言葉もないほど驚いたわけね。全くほんとにおもしろいんだから。








性悪?まさか!
(ほら、その証拠のスキンシップじゃん)
(スキンシップの理由が性悪なんだよ!)


2012.01.29
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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