今日は久々の休日で、イギリスさんが遊びに来てくださいました。
ご馳走を作るつもりだったのですが、私としたことが買い物に行くのをすっかり忘れていたようで。
仕方がないので、イギリスさんと近所の町に買い出しに付き合って頂いたところ、だったのですが。


「急に降ってきたなあ、」


空を見上げると、店に入る前まではまったくみえていなかった雨雲が覆っていて、結構な量の雨が降り注いでいました。


「すみません、傘が一つしかないのですが…」
「ああ、俺はいいよ。これくらいの雨なら慣れてる」
「私の家に来てお客様に風邪をひかれては困ります。ですからイギリスさんが」
「だったら日本だってだろ。大丈夫だって」

さすが英国紳士と言いましょうか、まったく退く気がないようです。
しかし、本当にお客様に風邪を引かせるわけにはいきません。
そして私が出した結論は。


「ふ、二人で入りましょう!」




自分から言い出したものの、相合傘というものをするのは久しくしていなかったもので、なんとなく気恥ずかしい気持ちになりました。
それに、すれ違う人たちがみんな私たちを見ているような…。
そう思って少し顔を上げると、人たちが見ていたものは私たち、ではなく、私の隣にいるイギリスさんだと気が付きました。

すると、傘を持っているイギリスさんが声を潜めて、なあ日本、と私に呼び掛けました。


「み、みんなが俺を見ているような気がするんだが…気のせいか?」
「気のせいではなさそうですね」
「お、俺、なんか変か?」
「…いえ。きっと、外国の方が珍しいのでつい目がいってしまうのでしょう。変なところはありませんのでご安心ください」
「そ、そうか…ならいいんだが、」


イギリスさんは、意外と人目を気にする方です。
普段会議をしているときにアメリカさんたちに振る舞っている態度をみると、そんなところは全くみえないのですけど。
まだ友達になったばかりなので、もっとイギリスさんのことを知りたいと思うのです。
そう思いながら、横で傘を持っている英国紳士の横顔を眺め、微笑んでしまうのでした。





梅雨の日
(これからは傘は二つ持ち歩きましょう…)



2011.07.20
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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