季節はすっかり冬で、冷たい風が背中から吹いてきて、思わず身震いする。


「さむーい!」

震えそうな声で叫ぶと、隣のNはそうだねえ、となんだか余裕そうだった。

「Nは寒くないの?」
「寒いけど、多分トウヤ程じゃないよ」
「そうなの?」
「多分ね」

明らかにNの方が薄着なのにこの差は何なんだ?
むーと悩む僕の顔を覗き込んできて、ちょっとどきっとした。
そのとき、後ろにあったNの長い髪が少し前に垂れる。


「あ、そっか。Nにはそのもふもふな髪の毛があるもんね」
「え?髪?」
「うん。だってNの髪の毛ほんと暖かそうだもん…羨ましいなあ」

僕髪の毛短いしね、と自分の髪に触れると、冷たくなった手が首に当たり思わず小さく声を上げた。

「どうしたの?」
「いや、首に手当たってさ…冷たくてびっくりした」

そう言った途端いきなり腕を掴まれて、右手がNの頬に触れた。

「わっ、トウヤの手冷たすぎだよ」
「え!Nのほっぺ暖かすぎじゃない?」
「そう?これくらいがボクの平均体温だと思うけどなあ」


Nの頬に触れてる手から、熱が伝わってきてどきどきする。
い、いつまでこうしてるんだろ…。
とか考えていると、ふっとNが声を上げた。

「あ、そうだトウヤ、手つなごう」
「え?」
「はい、手!」

そう言って俺の前に手を差し出す。
恥ずかしくておずおずと手を乗せようとすると、ぐいっと強く握られて、つい顔が赤くなってしまった。気がする。

「これで少しはあったかい?」
「うん…」
「…なんか恥ずかしいね」
「…Nが言わないでよ」
「へへ」


握った(握られた?)手がすごく熱い。
手を握るって、こんなに恥ずかしくてこんなに温かいことなんだな、とNの笑顔を少し見上げてまた歩きだした。






中途半端…


2011.03.17
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