僕は今日この学校を去る事になった。
来る時は僕に教師が務まるか不安だったのに、こうして去るとなると切なくもなる。
僕はシリウスを連絡を取り、ホグワーツを出る事になったと伝えてある。
これからは仲間として、共にダンブルドアの手助けをしていくことになるだろうと、だからよろしくと。
「これで全部かな」
元々荷物は少ない方だった。だから急な旅立ちの時にも手間取らなくて済む。
「リーマス、良いかしら?」
「ナマエ、良いけどもう全部しまっちゃったから何も出せないよ」
そう言えばナマエとちゃんと話すのはあれ以来になる。
退職が決まるのもすぐだったし、その後もこれからの活動の事で時間はあっと言う間に過ぎていったから、ゆっくり話をしている時間が取れなかった。
「あの時はありがとう。…というか、ちゃんと薬を飲んでいなかった僕が悪いんだけどね」
ナマエはシリウスに会ったのだろうか。
そうでなくても連絡くらいは取っているのかもしれない。
「リーマス、私…」
「そう言えばシリウスには会ったのかい?」
「ううん。あの後すぐに魔法省の役人が来たから…、そうじゃなくて」
「結局僕はハリーを近くで守れなくなってしまったね。ごめんよ」
「っ、リーマス!」
ナマエが怒る姿なんて、卒業以来だ。だなんて場違いなことに驚いてしまった。
だけどナマエが怒るのも仕方ない。
僕は、ちゃんと向き合うのが怖いんだ。
「リーマスちゃんと聞いて、話をさせて」
「…ナマエ、僕は…」
「私、リーマスと一緒にいたいの…」
「……え?」
背中に感じる温もりは嘘じゃないと、誰かに言われないと信じられない位の衝撃だった。
きっと何かの間違い