僕はナマエに焦がれ、ナマエは僕に依存している。
そんな関係に成り下がってしまったのは、つい最近のことだ。
僕は卑怯な人間だ。
ナマエがシリウスのことを好きだと気付いたのは学生の頃。
僕がナマエに想いを寄せ始めた頃、ナマエもシリウスに心を奪われていた。
二人が付き合う事は終に無かったし、シリウスがナマエの気持ちに気付いていたかすら定かでは無かった。
僕だけがナマエの気持ちを知り、そして裏切っていたのだ。
そんな恋心は卒業と同時に消えたものだと思っていたけれど、僕と同じ様に彼女も胸に秘めていたようだ。
それに気付いたのは夏に会った時。
彼女の中にはまだ彼がいる…
そして、何をしても敵わなかった親友に僕は卑怯な手段を選んでしまったのだ。
「ん…リーマス…?」
「おはよう、今日はクィディッチの試合だよ。ハリー達の決勝戦だ」
ナマエは寝ぼけ眼を擦りながら近くのシャツを羽織ると、窓辺に近づいた。
今日はクィディッチ日和だ。僕は寮監じゃないけど、卒業生という贔屓もあるからか是非ともグリフィンドールの優勝を思い描いた。
「ハリーね、クィディッチが得意なの。あのマクゴナガルだって贔屓しちゃうくらいに」
その様子を思い出してか、くすくすと笑うナマエ。
最近はそんな表情をよく見せてくれる。
「ほら、いつまでもそんな格好していると風邪引くよ」
「リーマスが脱がしたくせに」
「…っ、そういうことを朝から言うかな…」
「あはは、ごめんごめん。あのね、リーマ「あ、そういえばさ、」…」
ナマエが言おうとしていることが分かるから辛い。
僕は態とらしく会話を遮ってはナマエにそれを言わせない様にしている。
まるで恋人同士の様に時間を過ごし、でも気持ち上はそんな関係ではなくて。
あくまで僕達は友人の延長線上に少し身体が繋がっただけの関係なのだから。
『ナマエ、僕は君はシリウスのことを好きなのは知っているけど…今は僕を見てくれないかい?』
あの夜、僕はナマエに告白をしたようなものだ。
だからこの関係が今の僕の支えになっていて、ナマエに「もう止めよう」と言われる事をひどく畏れている。
でも僕は気付いていた。
この物語の終わりはきっと、すぐそこにあるんだってことに。
君が誰を好きでも、