今日が懐かしき母校での新しいスタートの日だということを知ってか知らずか、ホグワーツ特急の中にやってきたのは吸魂鬼だった。建前上ではアズカバンを脱獄したシリウス・ブラック捜索のため。
果たしてそれだけだろうか、と疑問に思うも口にするだけの権限はない。

そしてそれが私とハリーとの、懐かしき再会だった。





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「…そう、あなたがハリーを護ってくれたのね」

「護ったなんて大層なものじゃないよ。僕はただチョコレートをあげただけだよ。元気を出すには甘いものが一番だからね」

「でもありがとう。…ねえ、ハリーてとっても二人に似てるでしょう?」

「うん、ジェームズかと勘違いするくらいに。一瞬学生時代に戻った錯覚をしたよ」


そう言って苦笑いをするリーマスはすっかり大人になった姿だった。
彼らを喪ってから時が流れた分だけ歳を重ねてしまった。


「ハリーはハリーなんだって頭では分かっているんだけど、でもやっぱり追いかけてしまうの。ジェームズにリリーに…二人がそこに居るんじゃないかって。ハリーには失礼な事だって分かっているんだけど…」


ナマエは両手で支えたカップの中を覗き込んでは、そこに真実があるんじゃないかと探しているようでもあり、それでも見つからなくて絶望しているようでもあった。


「ナマエ、僕はあの子の力になれるかな?」


世間を騒がせている人物と、ハリーの心を苛んでいるのものは恐らく同一人物。
分からなくも無い。
だって彼は何も知らず---そして僕達も何も知らない。

只々魔法省から発表される内容を信じる他ないのだから。


「出来るわよ。…リーマスと、私達にしか出来ない事がきっと沢山あるはず」



ああ、やっぱり僕は、



ナマエの笑う顔が見たいだけなんだ。



不安定な未来に夢を抱く


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