僕にとってそれは、幸運な一日の始まりだった。
「それじゃあ、ハリー。元気で」
「先生こそお元気で」
手を振りホグワーツを後にする。
見上げた校舎の一角に、愛しき人の姿を見た。
『ありがとうナマエ、でも僕はもうホグワーツを去らなくちゃいけない』
『だったら私も…!ダンブルドアに…っ、リーマス」
『駄目だ。君が居なくなったら誰がハリーを見守るんだい?ジェームズと、リリーの子供を』
『でも、リーマスが…』
『僕はここを去る。だけど君には残ってほしい。…本心は違うけれど、それが最善のことだから、ね?』
僕の言葉に納得出来ないのか、頬を膨らませたナマエが恨めしげに見上げて来た。
だから僕はその膨らみを指で潰して、その小さな唇にそっと唇を重ねた。
『僕はいつでも君のそばにいるように…あと、家に着いたらフクロウ便を飛ばすよ。ナマエがいつでも来られる様に掃除もしておく』
『約束、ね』
『ああ。僕は君をいつまでも待っているよ』
例え今は離れてしまっても、気持ちは伝わっているから。
君と、
僕とで、
未来を守れる様に。
ふたりを繋ぐたったひとつの、
-end-