「ナマエ…、君はシリウスが好きなんだろう。そして僕はそれを利用して、君を傷つけて来た。それだけの関係だろう?」


敢えて冷たく、突き放す様に。
君の心に残るのは非情な僕であって良い。綺麗な存在になんかしてくれなくて良い。


「君は僕を嫌いになるべきだ」


強く、心にもない言葉を放つとナマエの腕が一瞬緩んだような気がした。
それでも振りほどけないのは僕の心が弱いせい?
何かを期待しているせい…?


「リーマス…、私あなたに酷い事をしていたのに気付いていたわ。最初はただ貴方の優しさに甘えていただけ…、でも気がついたらそれが幸せだった」

「それは…、それは現実逃避だよ、ナマエ」


楽な方に逃げちゃ駄目だ。
優しく手を差し伸ばしておきながら、最後には見捨てる僕を赦しておくれ。


「君がシリウスを想い続けて来た日々は何だったんだい?ナマエにとってはそんな程度だったのかい?」

「…リーマスは優しいね。嫌われ役だなんて、少なくとも私に取ってはそうじゃないよ」

「ナマエ…」

「私がシリウスを好きだったのは本当だし、大切な想いだっていうのは今でも変わらない。だけど何時からかな…それはジェームズやリリーに対する想いと同じようなものになっちゃってたんだ…」


小さな身体が、精一杯の我慢をしているのが伝わって来る。


「リーマスに会えたの、本当に嬉しかった。最初は甘えていただけかもしれない…でも変わっていく自分に気付いて、もっと早くリーマスに会えたら良かったって思った」


ナマエはこの一年で良く笑う様になった。
一年前の夏には見れなかったような顔が、今では昔の様に笑えている。
もうそこには過去に囚われている姿は無かった。

寧ろ未だに囚われているのは僕の方だ。


「そうして気付いたの。リーマスは私と同じなんだ、って」

「そ、れは…」

「大丈夫。きっと私にしか分かっていない。私とリーマスは同じだから」




だから、今度は私に貴方を笑顔にさせてくれませんか…?



それは限りなく恋情に近かった


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -