「ナマエ、僕たち別れよっか」
「え…な、んでそんなこと言うの?」
まるで訳が分からない。
だって、つい今の今まで私達は愛し合っていたじゃない。
今日は必要の部屋でだから、まだ何も身に纏っていない。
空き教室の時はそのまま、が多いからまだそっちの方が良かったな。
なんて見当外れな思考になる。
きっと処理しきれない事態にオーバーフローを起こさないための自衛策。
「だってナマエ、全然気持ち良さそうじゃないから」
「そんなことないよ!私はリーマスとこうして居られるだけで充分…!」
「充分、なに?」
「……感じるもん…」
恥ずかしい。
リーマスは二人だけになるとこういう側面を見せるけれども未だに慣れない。
「そう言う割に、僕には何もしてくれないよね」
「え…?」
「僕のことが本当に好きなら、出来るでしょ」
「…うん」
手を伸ばし、彼に触れる。
この熱は私のもの?それとも彼?
分からない。
思考なんてすぐにこの熱に侵されるのだから。
何時も、こう。
私がリーマスを好きなのは事実だし、間違っていないけど。
恋人同士とは言え、会えば毎回身体を重ねるだけ。私だって友達みたいにただ会ってお喋りしたり、一緒に勉強するだけっていうこともしてみたい。
これじゃあ身体だけの関係みたいじゃないか。
でも私はリーマスには逆らわない。逆らえない。
きっとまたさっきみたいに別れを切り出されるから。
私が畏れるもの。
それはリーマス。
だけど、愛しているのもリーマスだけ。
20100203