深夜のグリフィンドール寮の談話室。
僕は来週提出のレポートを一人仕上げていた。
親友達はそんなの週末にでもしたら良いさ、って言うけれども、これは僕の苦手な魔法薬学のレポート。しかも羊皮紙100センチときた。
それに今週末は約束があるからレポートどころじゃない。


「…ふぅ。あと5センチか」

時計を見るともう2時だ。
幸い、明日の授業は昼からだからまだ大丈夫だ。

ここまでくればもう10分もすれば仕上がるだろう。
あと少し頑張ろう、と羽根ペンにインクを付けた時。

---ガタン

こんな時間に誰だろう?

「あ、リーマス!」

「ナマエ…?」

「こんな時間までレポート?えらいね、リーマスは」

よいしょ、とかけ声をしながら僕の隣に腰掛けて来た。
二人掛けのソファだから、自然と身体は触れ合う訳で。
お風呂上がりだろう彼女からは良い香りがして、僕はレポートどころじゃなくなった。
週末、ナマエとゆっくり過ごすために今仕上げておきたいのに。

「また監督生のお風呂に行って来たんだ」

「えへへ。だってあそこだとのんびり入れるし、深夜にだって行けるじゃない」

だからリリーにお願いしちゃったの。
あ、リーマスも監督生だったね。良いなー。

とか何とか言ってるナマエは、もう6年生だって言うのに下級生みたいに無邪気だった。

「ナマエ」

「ん、なぁに---っん」

「前にも言ったの覚えてないの?」

触れたままの距離で囁く。
時々甘噛みするように、啄みながら。



「僕がお風呂上がりのキスが好きって」



「…知ってる。私も、だから」

確信犯か。

「だったら、これはナマエが悪いんだよ?あと、僕のレポートが終わらなかったらナマエのせいだからね。週末遊ぶって約束してたんだから」

「でも、今だけは良いでしょ?」

いつの間にか形勢逆転?

「だって、早くしないと柔らかいの終わっちゃう。ね?」

「そうだね。ナマエには敵わないや」




レポートは明日にでもやろう。

お風呂上がりのくちびるが柔らかいのが悪いんだ。
何であんなにふにふにしているんだ!

だから僕は君のくちびるの虜になるのかも。







(今度一緒に入る?)
(え?)
(冗談だよ)
(っ、リーマスのばか!)


20100201


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