休日の談話室。天気が良い日には誰も居なくなるが、生憎本日は小雨がちらついている。
春が近いとはいえ、油断すると直ぐに風邪を引いてしまうのがこの季節。まだまだ雨は冷たく、先週強引にクィディッチの練習をしたところチームの半数が翌日にはマダムポンフリーの世話になったこともあり、マクゴナガル先生に練習の許可を貰えなかったのは当然だろう。
それにしても…

「おい、リーマス。会議をするつもりがないなら余所に言ってくれないかな」

少々剣のある言い方になってしまったが仕方がない。僕にだって不機嫌な日はあるんだからね。
それにこれはリーマスが悪い。いや、リーマスだけでなく---

「ほら、言った通りでしょ?」

「分かっててナマエはジェームズを怒らせて」

くすくすと目の前で囁き合われてはジェームズでなくとも余所でやってくれ、と言いたくなるだろう。その証拠にシリウスはなるべく目を合わせないようにし、ピーターはあたふたと状態を把握するのに必死だ。

「あー、なぁお前ら。仲が良いのは良く分かった。だから、な?」

これ以上ジェームズを怒らせないでくれ、といった調子でシリウスが言う。今日は久しぶりの悪戯会議、最近ご無沙汰だった派手な悪戯についての重要な会議なのだ。

「シリウスの言う通りだ。いちゃつくなら僕の目の届かないところでしてくれよ!」

ジェームズはついさっき来週のホグズミード行きをリリーにあっさりと断られたショックを引きずっているようだ。
それとは反対にほんのひと月前から付き合い始めたリーマスとナマエ。最初だから、と大目に見ていたもののやっぱり好きな人への想いが叶わない自分と照らし合わせると悲しくなってしまう。

「ジェームズって子供なのね」

「なっ、ナマエには言われたくないね。そこら中でくっついて、場所を弁えて欲しいね」

ふん、と言い放つ彼は普段の自分の言動を振り返るつもりは無いようだ。
シリウスは二人とも子供だなと思い、これ以上何も言わない事を決めた。リーマスはそんな様子をにこにこと見守っている。

「ほら、ナマエ、こっちにおいで」

手を伸ばし自分の元に呼ぶ。大人しくしてね、と後ろから抱きしめてすっかりご機嫌な顔をしている。
これだけ自分がひと騒ぎの元になっていながら自分は傍観者でいる、そんな友人の様子に大きな溜め息を吐きジェームズは再びソファに深く座り込んだ。

すっかりリーマスに敵わなくなったジェームズの苦労はまだまだ続く。



(リーマス、チョコ食べる?)
(うん。あーん)
(僕だってリリーと…!)


20100316


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