ねぇリーマス。
私は欲張りなのかな?

世界中でたった一人、こうしてリーマスを独占している。
他の女の人と話さないで。話し掛けられないで。目も会わさないで。
私だけを、見て。

あなたにひどい事をしているって分かってる。
それなのにあなたは微笑んで「それでナマエが幸せになれるなら」と言うけれども……反対なんだよ、リーマス。

あなたは私を現実に、常識に、この世界に留めておく為のストッパーになってくれなきゃ駄目なんだよ。
私を甘やかしたりしたら、いけないの。

それでもあなたは言うのね。


「それがナマエのためなら」


全然分かってないじゃない。
だから私は今日言うの。


「リーマス、私のことを嫌いになってみてよ」


一瞬驚いた顔をして、でもすぐに何時ものように。
「それがナマエの望む事なら」


だったらどうしてそんな悲しそうに笑うの?
あなたにひどい事しか言わない私の事なんか、嫌いになった方がリーマスの為なのに。



去ろうとするリーマスのローブを掴んだ。

「うそ、そんなこと望む訳ないじゃない!」

「うん。知っているよ、ナマエのことなら何だって知っているんだから。君が僕を苦しめてるんじゃないか、って考えていた事くらい。そして僕はあまりにも君に何もしなさ過ぎた。だから怒っている事も知っているよ」

何時の間にか彼の腕の中に居た。
少年にしては華奢で、だけど男性を感じさせるには十分なその腕に包まれている。
吸い込んだ空気に、彼の甘い香りが混ざっている。

「だったら何で?どうして?」

「僕がナマエを好きだからだよ。君を失うことが一番怖い臆病な僕は、僕を縛り付けている間はほかのことが考えられなくなっている君に気がついたんだ。だから、ナマエの為と言っては自分のために、ナマエの我が侭を聞いていたんだ」

「---私たちって、ほんとうに馬鹿みたいね」

きゅ、と仲直りの印に、リーマスの背中に回した腕を強くした。







(もっと私を見て?)
(君が望む事ならなんだって)


2010


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