「リーマスって箒も上手だったのね!」
「ジェームズ程じゃないけど、ナマエを乗せて飛ぶくらいにはね」
頬を撫でる風が気持ち良い。
長かった冬が漸く春の兆しを見せ始めたのは最近。ここホグワーツはイギリスでも北方に位置するから、ロンドンとは比べ物にはならない位の厳しい冬が訪れる。
「ほら、危ないからちゃんと捕まってなよ」
リーマスの腰に回した手に、彼の片手が添えられる。
片手運転だなんて危ない!と思ったけれども、バランス感覚が良いのか揺れる事はなかった。
「リーマスって性格的には向いてなさそうだけど、クィディッチやらせたら実は上手なんじゃないの?」
「性格的に、ってひどい言われようだね…。うん、まぁ僕はクァッフルやスニッチを追いかけるよりも、ナマエを乗せてこうして飛んでいる方が遥かに幸せだな」
ひゅん、と上昇した箒にかこつけて彼に回した腕が強くなったのに彼は気付いただろうか。
(そうだ、明日は湖に行こうか。もう花も咲いているかもしれない)
20100212