怒涛の3日目
携帯が鳴った。見たくないと思った俺は正しいと思う。
From精市
Sub部長命令
今日なまえちゃん
連れてくるのかな^^
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画面を見て思わず固まってしまった。声を上げなかったことを褒めてほしい。
だから精市にバレるのは嫌だったんだ。
昨日、何がどうなったのかなまえは精市に気に入られたらしい。
「なまえ出かけるぞ」
「え?どこに?」
「とりあえず仕度してくれ。全く、ややこしくしてくれたな」
俺が精市に逆らえるはずもなく、なまえを連れて家を出る。
全く、気が重い。
そんな俺の気も知らずなまえはのんきに鼻歌を歌っている。
本当に昔から変わらない。
俺や貞治が計算して障害物を排除したり、厄介事から遠ざけようとしても、自分から引き寄せて全力で突っ込んでいく。
それでいて、何かある度に俺達がどれだけ心配しているか気付いていない。
まぁ、俺達がそうやって周りを固めてきたせいでこうなった気はしないでもないが。
「ねぇ蓮二、結局どこ行くの?」
「学校だ」
「蓮二の?」
「そうだ」
「そ、そうだよね。ごめん」
俺は貞治と違ってどうしてもなまえを素直に可愛がってやることができない。いつも素っ気なく接してしまっている自覚もある。
だからきっと、いや、確実に苦手意識を持たれているだろう。
また携帯が鳴った。
From精市
Sub無題
今どこ?
ごめん、赤也が
先に言っちゃった
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すぐに電話をかけた。赤也、そんな予感はしていたが少し早すぎるぞ。
「もしもし、精市か」
「ああ。本当にごめん! ちょっと目を離した隙に仁王にやられた」
「……仁王か」
「うん。もうすごい事になってる」
「だろうな。すまない、説明を頼む。それと今日は欠席する」
「分かった。ちゃんとしとく。なまえちゃんによろしく」
To仁王
To赤也
Sub無題
覚悟しておけ。
------END------
これでいいだろう。
赤也はペテンに掛けられたんだろうが、バラしたのは事実だからな。仁王は許さん。
「帰るぞ」
「え?」
「用事が無くなった。手間を掛けさせたからな……今日の昼は好きなものを作ろう」
「ほんと! じゃあグラタン食べたい!」
やはり大好物は変わっていないらしい。この分だといちごオレも飲むんだろう。
喜んでいるなまえを尻目に溜息を吐いた。