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▽トリップ的な
「なまえー!早く起きないと精市くんが迎えに来るわよー!」
あぁ、まだ夢を見てるんだ。でなきゃ幸村くんが迎えに来るなんてあるわけないもん。
あー、寝る前まで読んでたからかなぁ。
「なまえー!」
なかなか瞼が持ち上がらない。そうこうしているうちにまた睡魔が襲ってきた。うう、眠い。
「なまえ、なまえ、起きて。早く起きないと遅刻しちゃうよ」
体を揺さ振られながら聞こえた心地好いアルトに意識が覚醒した。
「……っ!?」
「おはようなまえ」
目を開くとすぐそこに整った顔があった。それは紛れもなく寝る前まで見ていた顔で、息が詰まりそうになった。
「え、」
「?どうしたの?」
「な、なん!?」
驚いて言葉が上手く出てこない。身動きが取れないでいると、幸村くんは微笑みながら部屋から出て行った。
「先に行って待ってるね」
「う、うん」
困惑しながらも支度を済ませて階段を降りると、リビングにはやっぱり幸村くんがいた。
「あら、やっと起きたのね。精市くんずっと待ってたのよー?」
「ちょ、ちょっとお母さん!なんで幸村くん知ってるの!?」
「なに言ってるの。お隣りさんじゃない!変な子ねぇ」
えぇぇ……家のお隣りさんは両方とも普通のお家だったはずなんだけど。
幸村くんがくすっと笑う。
「なまえまだ寝ぼけてるの?」
「そ、そんなことないよ」
「そう?じゃあ行こうか、なまえ」
こんな風に微笑まれたらなす術なんてない。差し出された手に自分の手をそっと重ねる。
もう、一体何がどうなってるの!?
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一応連載のプロトタイプ
ということで。
トリップのような違うような。