■ ■ ■
▽電話
「もしもーし」
「……」
「せーいちー」
「なに」
「寝てた?」
「当たり前でしょ。こんな時間にどうしたの」
「なんか寂しくなったから声聞きたくて」
「そんなことで電話してきたの?」
「うん」
「はぁ」
「ごめん」
「いいよ、相手してあげる。ちょっと待ってて。5分くらいしたらかけ直す」
「わーありがとう!!」
「じゃあ切るね」
「はーい(5分かぁ)」
「…ッハァ…もしもしなまえ?」
「もしもしー」
「遅い。すぐ出てよ」
「出たじゃん!」
「まぁいっか。ちょっとカーテン開けてみて」
「え?」
「いいから。外見て」
「うん。ちょっと待っ、て!?」
「思ったより寒いね。まだ春じゃないんだなぁ」
「な、なんでいるの!?え、だって、え!?」
「お前が寂しいとか言うから。久々だよ、引退してからこんな全力でダッシュしたの」
「え、ご、ごめん!今行くから!」
「良いよ、寒いから。ね、寂しくなくなった?」
「!」
「ねぇ」
「うんっ」
忘れていましたが私の王子様はかなりアクティブな人です。寂しさなんて吹っ飛んでいきました。
(っくしゅん)
(精市、風邪か?)
(ちょっとね。なまえーティッシュー)
(…ああ、なるほど)