昔からずっと一緒にいた。隣にいないなんて考えられないくらい。
今日は久しぶりに会えることになって駅まで迎えに来た。今か今かと逸る心は抑えられない。
学校は違うし、会えないのも仕方ないと分かっている。でも、会えない時間や遠い距離はもどかしくて胸の奥が痛む。
どれほど英二が羨ましかっただろう。幸せを願っていたけれど、今はその存在が眩しい。
こんなふうに恨めしく思うのはなまえが愛しくて愛しくて堪らないからで。
「周助ー!」
ぼんやりとしていると遠くから呼ぶ声が聞こえた。
ふと視線を移せばそれは、
「なまえ」
最愛の人。
言葉よりも先に体が動いてなまえを抱きしめていた。
「周助っ! 苦しいってば!」
腕の中で微笑むなまえに想いがどんどん溢れていく。
「ごめんごめん」
「もう! びっくりしたんだからね」
ダメだ、これは。
頬が緩むのが分かる。
きっと顔は赤くなっているだろう。慌てて手で口元を隠したけれど、しっかりなまえには見られたみたいだ。
まったく、僕はなまえの前では冷静でいられないんだよなぁ。
「ね、寂しかった?」
「そうだね、もう六角に帰したくないくらいには寂しかったな」
「わぁ、私って愛されてるー!」
嬉しいくせに、わざとおどける顔を見てると、僕まで嬉しくなるから不思議で、また愛しくなる。
「でもね、サエから伝言。『ちゃんと俺達に返してね』って」
「えー?嫌だなぁ」
2人で顔を見合わせて、どちらともなく笑い出した。佐伯達には悪いけれどしばらく離すつもりはない。
「なまえ」
ああ、もう。
絶対に分かってないんだろうなあ。そんな風に見つめられたら、
「好きだよ」
額にキスを落とすと、固まってしまった。でも今日はずっと一緒にいられるから今だけは許してあげよう。
先に俯いて歩き出した彼女は耳まで真っ赤で。
ああ、もう離せない。
いつもいつも、愛しくて
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