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けらけら笑う丸井くんの声が聞こえる。いいな、丸井くん。私もあんな風に仁王くんと話してみたいな。今はあいさつするので精一杯なんだけど。
なんて考えながらふと視線を移すとぱちっと目が合った。
「おはよう、仁王くん」
「ん。おはよ」
うわー、仁王くんちょっと笑ってくれた! ふわふわしてて可愛い。なんか朝から幸せになれそうなんですけど!
一瞬固まりかけたけどあいさつできてよかった。
ちゃんと笑顔でできたし! 毎朝の事だけどやっぱりちょっと慣れないとなぁ。ドキドキしすぎて大変なことになる。
あ、丸井くんにあいさつするの忘れた。まぁいっか丸井くんだし。
ちらっと横を見ると、仁王くんは机に突っ伏して唸っていた。それを見て丸井くんが笑ってる。
なんだかその様子が微笑ましくて笑みが零れた。
「ねぇなまえ、ニヤニヤしてるけどどうしたの?」
バッと口元を押さえて声の方を見上げる。そこにいたのは友達のはるちゃんだった。
「はるちゃん! え、私そんなにニヤニヤしてた?」
「ごめんうそ。まあ、にっこにこしてたけど」
「もー。びっくりしたー」
いや、本当に。ていうか、私よりはるちゃんの方がニヤニヤしてるよね、絶対。はるちゃんめ!
「で、どうせ仁王絡みなんでしょ」
「まぁ、そんなんだけどね」
「今日もあいさつしかできてないんでしょ?」
「うん…でもいいの! 今日はちょっと笑ってくれたんだよ」
「はぁ。愛されてるねぇ、あいつも」
ちょっと呆れたように笑う。はるちゃんは丸井くんと仲がいいからたまに仁王くんと話すこともあるらしい。
「あ、でもはるちゃんも大好きだからね!」
「ありがと。も、って言うのは気に食わないけどねー」
鐘が鳴るとはるちゃんは笑いながら自分席に戻って行った。ああもう、はるちゃん男前!
いやー、なんだか今日は朝から頑張れそう。
結論!私はやっぱり仁王くんが大好きみたいです。