ふと隣を見るとにこにこする彼と目が合った。
「さあ、ミーティング始めるよ」
幸村君が声を掛けると一瞬で空気が引き締まった。
え、私戻っていいんでしょうか。
「で? 結局誰なん?」
「彼女はみょうじなまえさん。みょうじさん、ちょっと自己紹介してもらえるかな」
「あ、はい。えーとお邪魔してすいません。3Aのみょうじなまえです。図書委員やってます」
これだけで良かっただろうか。うーん。なんで自己紹介……?
「邪魔じゃないからね。俺は彼女にマネージャーをやってもらいたい。それで、みんなの意見が聞きたいんだ」
は、初耳です。え、え、いつ決まったんだろう。前もって話してほしかった。
しかもまた視線が集中している。
なんとも言えない空気の中、口を開いたのは柳君だった。
「俺と弦一郎はそれで一向に構わない。みょうじの誠実さは俺達が保証しよう」
「うむ。みょうじならば任せられるだろう」
真田君も同意してしまった。でも私まだやるとは言ってないのに。
「まぁ別に今までいなくても平気だったけどよ。確かにいた方が楽だよな、ジャッカル」
「そうだな。まあ、2年の仕事は減るだろうしな」
「あ、そうッスね! じゃあ俺も賛成ッス!」
丸井君も乗り気みたいだ。ジャッカル君まで。
くせ毛の子は見たことがないから3年じゃないと思う。おのれ!
「仁王先輩はいらないんすか?」
「いや、別にいーぜよ。でもみょうじさんのことよく知らんき、丸投げで賛成はできん」
「あー確かに俺もみょうじのこと知らねぇや」
「そんなこと言ったら俺だって知らないッスよ!」
「まあまあ。私はいいと思いますよ。彼女の仕事はいつも正確ですしね」
このままだと収集がつかなくなりそうだな。というか、なんでみんな基本的に賛成の姿勢なんだ……。
「じゃあとりあえずみんな賛成ということで。みょうじさん、マネージャー頼んだよ!」
あ、決まっちゃった!
よかった、とまたにこにこしながらお弁当を食べ始める幸村君。
ほわほわした空気に反論なんてできるわけなくて。
私、マネージャーになったようです。