銀土






君が、言って
僕が、聞いた。

君が、笑って
僕が、泣いた。

僕と君はいつも傍にいて
お互いのすき間にお互いをはめてく毎日
どっちかが反応すれば、
どっちかが反応する。
僕と君は、
いつも一緒だったんだ。





君に、好きな人ができた。
君が笑えば
あの人も笑って、
君が泣けば
あの人も泣いて、
そうやって、僕が埋めていた君のすき間を
あの人が埋めていく。

君の毎日は、あの人になった。



君が、幸せだと言った。
僕は、よかったねと言った。
笑えていたかな。
泣いていたかな。
どうだったかなんて、
誰にも聞けない。
君を、困らせたくはなかったから。

君は、僕に、言った。
初恋は 君だったよって。
無邪気に笑って、
幸せだったって。
お別れ、を告げられた。


僕は何にも言えなかった。
僕も幸せだった、
君の傍にいれてよかった、
たくさんたくさん
言いたいことはあったけど、
何にも
言えなかった。
きっと、
心のどこかで待っていたんだと思う。
君が、また、
僕の傍にきてくれるって。
そんで、一緒に笑って、
泣いて、
怒って、
喜んで、悲しんで、
巡る毎日を、
一緒に歩んで行きたかったんだと、
一緒に過ごしたかったんだと
僕は、
期待してたんだと思う。







君が、結婚した。
幸せそうだった。
無邪気に笑って、
奥さんを抱きしめて、
それを遠目に見てた僕は
涙が
止まらなかった。



僕が幸せにしてあげたかった。
僕が君を、守ってあげたかった。
たわいもない話だって、
一緒にご飯作ったりだって、
一緒にお風呂入ったりだって
たくさん、たくさん
君との時間を増やしたかった。
君が笑ってくれれば、
僕はなんだって出来た。
でも、それはもう昔の話で
いま僕が君にしてあげられることはたった一つで、
でもそのたった一つが
できなくて、
苦しくて、
切なくて、寂しくて。
でも、君があんなに、
あんなにも幸せそうに笑うから
僕は君に、

おめでとうって、

お別れを
いうよ。



ばいばい、今までのふたり。
ばいばい、今までの僕。



どうか、ずっと、お幸せに。






初恋ものがたり
110920

ーーーーーー
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -