銀土
聞いた、ぜんぶ
…
わかってたよ、あの時から
…、
あいつ、元気にしてる?
…ええ、
そっか、ならいんだ
坂田さん、
俺この後用事あるから。
「またね、ミツバさん」
彼女は泣き崩れていた
そうしたいのは俺の方だってのに
女はずるい
こんなどす黒い気持ち抱えたまま
笑えって促すから
「…うん、わかってた」
俺のことほんとに好きだったって
俺のために泣いてくれてたって
俺のために嫉妬してくれてたって
ただそれが、
誰かと同等だっただけ で
「わかってた」
最後に俺を、
選んでくれないことも。
わかってた積もり
110812
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