銀土 死
吐く息が白くなる季節
この白い息をなんとも思わなかった去年に戻りたい
いまではもう、
こんな些細なことでさえ
涙がでそうになる
「あーあ」
脆くなったなあ。
それとも歳をとっただけだろうか。涙腺が弱くなるなんてのは、歳をとった証拠だろう。なあ。
ほんと、
歳なんかとりたくないもんだなあ
「雪、」
はらはらと顔に落ちてきた雪を左手でなぞる
白い、白いなあ
また、涙があふれてきた
去年の冬から白くみえるもの、すべてが嫌いになった。彼の顔に被さっていたものもたしか、白かった。それの下にあった彼の顔も被さっていたものと同じくらい
白かったなあ
「雪だよ、」
土方。
白い息と共に吐かれた名前は、白い空へと吸い込まれて逝った
スノーワールド
110220
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