死んだら星になりたい、だなんて上手い言葉もあったもんだ。星になって愛した相手を天から見守りたいだとか、単に空の上で輝きたいだとか、夢物語にも程がある。良く言えば夢がある。悪く言えば馬鹿馬鹿しい。私からしたら確実に後者だ。

「君って淡泊だよね」

「そう?」

「女の子なんだしもう少し夢見たって良いんじゃないかな。」

まあ、俺はそんな君を愛してるんだけどね。そう言って弧を描く唇。細められた瞳は温かさを含んでいて、柄にもなくドキドキした。でも、臨也にそれを悟られてしまうのは癪だ。

「人間みんな愛してるくせに。」

「何、照れてるの?」

そっぽを向いて吐き出した言葉を無視して、厭らしい笑みを浮かべる臨也。目線を逸らし続ける私の頬に手を添えて、無理矢理に目線を合わせる。大して力を入れてる訳ではないのに逆らえない。いや、逆らう事は許されないという錯覚。私は臨也の信者ではないが、ある意味でこの人に心酔している。

「一応言っておくけど、俺は人間を愛してる。でもそれは君に対する愛とは全く異なる愛なんだよ。」

「…じゃあ、臨也は死んだら星になって私を見守りたいと思える?」

「それは無いね。死んだらどうなるかなんて誰にも分からないし…何より、俺が死ぬ時は君が死ぬ時だろ?」

「…そう、だね。」

それがたとえ狂気染みた感情だとしても、愛と呼ぶ事に変わりはないのだ。そう思わなければ、いけない。心が恐怖に狩られてしまわないように。



優しい狂気 100226
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