「くだらん…」

「はいー?何か言ったかね?ギロロ伍長?」

「くだらんと言ったんだ!正月早々収集をかけるから何か良い作戦でも思いついたのかと思ったら…こんなくだらない作戦内容だったとは……!」




今年はうさぎ年。今回の作戦はそれに因んで可愛いウサギの姿に扮して日向秋にお年玉をたくさんねだり、侵略費用を集めよう……というものだ。




「なぁあああにが!うさぎの格好だ!馬鹿馬鹿しい!」

「今回の作戦は侵略費用を集める為のものでありますよ!まったくもぉー!あったま固いんだから、チミはー!」

「ふん!侵略費用の為とか言いながら、どうせガンプラを買う為なんだろうが!」

「んギクッ!……んなわけないじゃん!侵略費用の為でありますよ!!」



作戦内容を馬鹿にされると共に図星をつかれて焦るケロロにタママが「軍曹さぁん」と声をかける。それを幸いとギロロから逃げるようにケロロはタママの方へ顔を向ける。



「な、何でありますかー?タママ二等?」

「あのぉ、僕的にはウサギの格好をすることで更にプリティーになれるのは嬉しいんですが…ママさんは動物苦手ですよ?」



日向秋は動物嫌いだ。それも日向家では動物を飼うのを禁止している程。そんな秋にウサギの格好をして可愛いアピールをするなんて、効果がないどころか悲鳴をあげられておしまいなのではないかとタママは口を尖らせる。


「チッチッ。全身ウサギになる訳ではないのだよ、タママ君。ほらこれ!」


じゃじ〜ん!っと楽しそうにケロロが差し出した物にタママは目を見開く。



「これは…ウサギ耳?」

「そ!しかも、ちょっとした細工があってねぇ……ということで!ギロロ伍長!早速つけてみるであります!」

「はぁ?なぜ俺が?!こういうのはタママの方が良いんじゃ……!」

「まぁまぁ。どうせ皆つけるんだからさー」

「し、しかし、ソルジャーがこんな女々しい物をつけるなど……!」

渋るギロロにケロロはぼそりとささやく。


「夏美殿もかわいいーって言ってくれるかもよ?」

「なっ……っ!//なつみが?!」

ケロロの言葉でギロロの頭に思い浮かぶのは、起こり得ない夏美とのラブラブな妄想。夏美に可愛いと言ってもらえる…夏美に可愛いと言ってもらえる…とぶつぶつ呟くギロロに若干引きながらケロロがもう一度たずねる。



「………それで?どーするでありますか?ギロロ」

「ふっ…ふん!仕方がない」




そう言いながら、ギロロはにやけそうになる顔を誤魔化しながらウサギ耳を着ける。
ガタイの良いギロロにウサ耳、やはり予想通り……




「うわぁ…似合わねぇ…」

「けっケロロ貴様!//だから言ったぴょん!」





………………。






「……伍長さん。何スか、ぴょんって…。正直引きますぅ…」

「おっ!俺だって別に言いたくて言ってる訳じゃないぴょん!って!あぁぁあっ!?」



真っ赤になって焦るギロロをにやにやと楽しそうに見ながらクルルが説明する。



「ククーッ!このウサ耳を着けると自然と語尾に『ぴょん』をつけてしまう仕組みになってるんだぜぇ〜」

「おぉ〜面白いですぅ!じゃっ、僕も!」

「今回は平和的な作戦だから、拙者も協力するでござるよ。」




そう言ってウサ耳を装着するタママとドロロ。




「うわ〜!すっごくプリティーだぴょん♪」

「何だか照れるでござるぴょん。」

「ねー?これだったら動物嫌いのママ殿にも大丈夫でありましょー?」




確かに、と隊員が頷くのを満足そうに見て、ケロロは早速計画開始の掛け声をする。


「よし!じゃあまずは、ギロロとドロロとタママの3人で行ってくるであります!」

「「「了解だ(でござる)ぴょん!!」」」







3人が出て行ったのを見届けると、ケロロはにやにやとクルルの方を振り返る。




「さ〜てと!邪魔者はいなくなったでありますなぁ」

「ん〜やっぱり何か企んでやがったか」

「えへへ〜クルルーこれ着けて♪」



満面の笑みを浮かべてクルルにウサ耳を差し出す。それをクルルも満面の笑みで断る。



「ヤなこった〜。どうせロクでもないこと考えてんだろ?」

「まっさかー!わが輩別にクルルにウサ耳をつけてうさ耳プレイがしたいとか思ってないでありますよ〜」

「ククーッ!自分でばらしてるぜ、隊長〜。つーか、今回の作戦のホントの目的は資金集めなんかじゃなくてこの俺様だったんだろ〜?」

「あっバレた?」



悪びれもせずににこにこと笑うケロロにクルルもニヤリと笑う。
作戦内容を伝えに来たケロロは、何故かウサギ耳と語尾を可愛くするということにこだわっていた。しかも、話をしている最中何やらにやにやと締まりのない顔をしてクルルの顔を眺めていた。そんなケロロを見て何かあると思わない方がどうかしているだろう。それに気付きながらも、ケロロの言う通りの物を作ったクルルもクルルなのだが………





「まぁ良いじゃん!とにかく着けてみて♪」


手にウサ耳を持ち、気持ち悪い笑みを浮かべながらジリジリとクルルに近付いていく。



「嫌だっつってんだろ〜?諦めろよたいちょ」

「えーっ!じゃあせめて隊長大好きだぴょん(ハート)って言って!クルル〜」

「タイョーダイスキダピョン」

「ちぃいいいいがう!!もっと心をこめて!恥ずかしがりながら!!」

「クックー!なんだよめんどくせぇな〜」



なかなかうさ耳をつけてくれないクルルにしびれを切らしたケロロは「じゃあ力付くでつけさせるであります!」と、手を伸ばした。それをクルルも慌てて避ける。



「ちょっ!近付くんじゃねぇ〜よ!」

「ちょっとだけ!ちょっとだけで良いから!ね?お願いクルル〜!」




二人がワイワイと言い合っている中、ひやりとした声が落とされた。





「………貴様、何をしているんだぴょん」

「「…えっ?」」





パッと振り返ると、先ほど出て行ったはずの3人が青筋をたてて入口に立っている。




「ゲロォッ!!皆何でここに?」

「隊長殿からなかなか指示が来ないから気になって戻って来たのでござるぴょん。」

「貴様は…そんなことの為に俺たちを…」

「うらぁあ〜!嫉妬ォォォ!!」


可愛い姿をした3人が怒りをむき出しにしてケロロに徐々に迫っていく。




「クッ、クルルーッ!ヘルプミーであります!」

「あれ〜クルちゃん何だか耳が聞こえなくなったみてぇ〜だ」

「嘘つくな馬鹿ーっ!!」


「「「さぁ…覚悟する(でござる)ぴょん」」」

「あっ………ぎゃあぁぁぁぁあっ!!!」








………皆さん良いお年を!




END.


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