先輩と僕の秘め事の段(藤内)

※性描写表現有

 薄暗い闇の中、揺蕩うように優しく揺れていた身体がゆっくりと下ろされ、僕はそれに疑問を抱いた。
 耳に届くのは優しい水の流れる音で、ここはどこだろうと思いながら目を開いた。
 ぼんやりとした思考はすぐに機能しなくて、目の前に現れた泣きそうな福屋先輩の顔で、僕は助かったのだとまず思った。
 視線を巡らせて数馬を探せば、数馬は僕の姿を見て泣きそうに表情を歪めて、両手で顔を覆った。
 その背を片桐先輩が撫でるのを見て、僕は痛む身体を起こそうとした。
 あまり抵抗らしい抵抗はしなかったので、気を失う前に叩かれた以外は、叩かれたり殴られたりはしなかった。けど、特に慣らしもせず無理やり挿入された所為でお尻がズキズキと痛む。
 そう言えば中に出されたんだっけと、不快感を覚える腹部を押さえた。
「大丈夫?苦しくはない?」
 そう問う福屋先輩に僕は答えに迷った。
 別に苦しいと言う感覚はなくて、不思議と冷静で居る自分に驚いた。
「覚悟、してたので」
 そう答えると、福屋先輩は首を傾げた。
「本当は誰か好いた人とか、そんな人が良かった気がするけど……」
 別に好きな人居ないし、実習で誰かと組まされた時が初めてでもいいかなって。なんとなくそんな風に思ってて……まさかこんな風に初めて誰かに身体を開くなんて思わなかった。
 そこまで深く学び始めた訳ではないけど、コツと言うかそう言うのは片桐先輩を見て夏休みの間に自然と覚えたから、上手く言葉で誘導出来たと思う。いや、酷くされたから失敗なのかな?
「数馬、怪我してないよね?」
「馬鹿っ……自分の心配しなよ!」
「でも、不思議と平気だし……」
 まあ不快感はあるか。
「自分で動ける?」
「なんか出そうですけど」
 そう答えると、片桐先輩はきょとんとした顔で目を丸くし、そして小さく笑った。
「福屋、数馬。先に戻ってて」
「え?でも……」
「大丈夫。いざとなれば私が背負って帰るし、しばらくすれば牡丹と竜胆も来る」
 福屋先輩は、少し迷いながらも数馬の背に手を添えた。
「行こう、数馬」
「でも……」
「居てもいいけど、中に出されたものを出すから、見ていて気持ちいいものじゃないと思うけど?」
 その言葉に数馬はかあっと頬を染めた。
「ごめんね、数馬」
 流石に誰かの手を借りないと、身体がずっしりと重い感じがする。それに、数馬や福屋先輩に見られたままでって言うのはやっぱりまだ嫌だな。
 片桐先輩に関しては散々見てきたから逆に申し訳ないし……不思議と恥ずかしい気はしなかった。
 福屋先輩に背を押されながら数馬は歩き出し、僕はその背を視線で追った。
「……自分で出来る?」
 しばらくして、片桐先輩がそう声を掛けてきて、何がだろうって思ってしまった。
 さっき片桐先輩が言ったのにもかかわらずだから、少し頭がぼうっとしているんだろうと思う。
「あ、えっと……掻きだせばいいんですよね?」
「そう」
 片桐先輩は僕の前に座ると、寄りかかるように指示を出してきた。
 首を傾げながらも片桐先輩に抱きつくような形で寄りかかると、片桐先輩は僕の制服に手を掛けた。
 しゅるりと誰か―――多分福屋先輩だろうけど―――が着せてくれた制服を脱がされると、冷たい風が肌を擽った。
 霜月の風は冷たくて、思わずふるりと身体を震わせると、片桐先輩はそっと僕の背を撫でた。
「冷たいけど、我慢をしてね」
 片桐先輩は自分の制服にも手を掛けると、僕と同じく一糸纏わぬ姿になり、僕の身体を抱えながら川へと向かった。
 何となく気恥ずかしく感じながらも冷たい水に足を浸けると、色々な事が一気に吹き飛んで目が覚めたような気がする。
「つめたっ」
「我慢して」
 片桐先輩は表情一つ変えず、ざぶざぶと緩やかな流れの川の中へと進み、腰を落とした。
「捕まっていていいから」
「ひゃ?!」
 そう言った片桐先輩は僕のお尻に手を伸ばし、小さな指を穴の入り口に触れさせた。
 確認するようにやわやわと押さえると痛みに眉根を寄せ、片桐先輩の髪を掴んだ。
「んう……」
 指が穴の中へと入るとゆっくりと掻くように動く。
 中に出されてしまったものを出してくれているんだろうけど、優しい手つきに声が零れる。
 片桐先輩が海美姉さんを演じていた時のような甘い声が自分から洩れるのに驚いて目を丸くしたけど、すぐに声を漏らさないように口を押えるのに必死になっていた。
「もう大丈夫でしょ」
 そう言う片桐先輩に首を横に振ると、片桐先輩はきょとんとした顔で僕を見上げてくる。
 自分自身を見下ろして顔を赤らめれば、片桐先輩は「ああ」と小さく呟く。
「ああじゃないです」
「ごめん。傷のこと気にしてたら忘れてた」
 そう言った片桐先輩は躊躇いなく僕のそれを握ると上下に擦り始めた。
「あっ、片桐せんぱ……っ」
 気持ちが悪いと思っていたさっきまでの行為と違い、僕の事を労わってくれているのが良くわかるその動きに僕はふわふわとする意識を必死に保った。
 流石片桐先輩と言うのか、僕はあっという間にいかされてしまい、力の入らなくなった身体を冷たい川の中へと崩れ落ちさせたのだった。



⇒あとがき
 ここまでが表に晒せるギリギリのラインかな!なんて思いながらもやっちまったんだぜ\(^o^)/←アウトだよ
 きっとこの後攻めに回れない夢主は藤内に襲われてどーてー奪われるんだろうなって妄想したらたまんなかった。
 ……いや、本当落ち着けよ、自分。
20110120 初稿
20221105 修正
    
res

×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -