金吾とドSな年上彼女の場合

※成長(+4年)

 皆本金吾と言う男は反則だと思う。
 綺麗系な癖に体育委員会に名を連ねているだけあって体力は馬鹿みたいにあるけど何処かの馬鹿旦那とは大違いな綺麗な筋肉をしている。
 だから一度房中術の相手になってくれないかと思うくのたまは少なくない。本当何処かの馬鹿旦那と大違い!!
 剣技は一年の頃から熱心に戸部先生に師事しているだけあって数居る同輩の遙か上を行く。
 最近は毎年くのたま教室で勝手にやってるサラストランキング上位に名前が入るようになったし、くのたまからの本気の告白には真摯に答える真面目な性格が彼をより一層魅力的にする。
 更に彼を魅力的にするのはその料理の腕だと思う。
 長期休暇中お世話になっている戸部先生のためにと一生懸命磨き上げた腕前は女泣かせな部分もあるけど、子どもが出来たら楽できるわよね!と言う将来まで見据えて彼を狙うくのたまにはとても魅力的に映っている。
 まあ斯く言う私も彼のそんなすべてを含めて惚れてしまっているのだ。だから本当反則だと思う。

「……あのさ、どうしてそれを本人目の前にして言うの?」

 かあっと顔を赤くする金吾に私はくすりと笑った。
「だって金吾のその顔が見たかったんだもん」
「なんだよそれ」
 むすっと拗ねた顔をする金吾の顔はまだ少し赤くて、初めて出会った頃のあの可愛さの面影が見え隠れするのが堪らない。
 私と金吾の出会いはこの忍術学園だ。
 私の方が金吾より一つ年上で、金吾が編入してくるまではあやかと一緒によく今の五年ろ組の日陰っ子たちを苛めていた。
 あいつらも可愛いんだよね〜。素直なは組も好きだけどビクビクしてるろ組の連中ってもうっ……
「……公子」
「ん?」
「今別の事考えてただろ」
「んーん。ちゃんと金吾の事よ?」
「嘘だ。絶対平太たちの事考えてた」
「まあほんの少し?だって金吾と平太たちって可愛さ具合が似てるんだもん」
 あっさりと白状すれば金吾は「か、かわっ!?」とショックを受けている様子だった。
 まあ今いるくのたまの殆どから格好いいと言われているのに、彼女にだけ可愛いを連呼されてるんだからそれはショックでしょうとも。
「どこかの馬鹿旦那みたいに可愛さのかけらもない男臭い男より私は金吾みたいな綺麗な男が好きだよ?たまに可愛い所が堪らないの」
 ね?だから機嫌を直してちょうだい?
 にこりと妖艶に微笑めば、金吾は顔を赤くして俯いた。
 そして堪える様にぎゅうっと拳を握る姿にぞくぞくした。
 ああもう本当これだから金吾の彼女は止められない!!
「金吾、ちょっと今から部屋行こう。そして私と極楽に行っちゃいましょう」
「ちょっ、公子!今お昼!お昼だから!!」
 いやー!やめてー!!と乙女のように恥じらう金吾を私は無理やり引きずり、忍たま長屋の金吾の部屋に向かった。
 一応やんわりと言ったのにこの恥じらい様が堪らなく楽しくて仕方ない笑顔は満面の笑みで金吾とその同室である喜三太の部屋の戸を開けた。
「は、はにゃあ!?……あれ〜?公子先輩と金吾?どうかしたの?」
「ちょっと喜三太お願いしたいことがあるんだけど、今から部屋貸し……」
「公子本気過ぎだよ!?お願いだから止めてってば!相手は喜三太だよ!?」
 顔を……いや、全身を真っ赤にして怒る金吾に喜三太はふにゃりと笑みを浮かべた。
「今ちょうどお部屋掃除したところだから譲ってあげようか?」
「喜三太ー!?」
 いつもはにゃんと笑みを浮かべてるからって喜三太が何も知らないと思ってたんだろう金吾の様子が本当に可笑しくてたまらない。
「何よ金吾、知らないの?喜三太は金吾よりも先に大人の階段駆け上っちゃってるのよ?」
「なっ……」
 言葉を失った金吾に喜三太は「えへへ〜」と照れたように笑って見せた。
 ちなみに喜三太の彼女は私の一つ上の先輩で、富松先輩の幼馴染だったお人だ。
 同じくのたまだって事もあって、とりあえず喜三太が大人の階段駆け上っちゃったのは知ってる。
 二人とも私が金吾を弄……ごほん。金吾と仲良くなるために色々協力してくれたからね!
「ごめんね?うん、でも頑張ってね」
 ぽんと金吾の肩を叩き、蛞蝓の入った壺を抱えて鼻歌を歌いながら喜三太は長屋を後にしていった。
「って訳で、金吾ちゃん?」
「え?公子、本当に本気?」
「本当の本当に本気」
 うふふと笑みを浮かべながら、私は手早く喜三太くんが出してくれた布団の上に金吾を押し倒した。
「いただきます♪」
「ちょ、あ……あー!!!」

 可愛い金吾。まさに私の嫁!



⇒あとがき
 やべえ。喰われる金吾が楽しかった(^p^)
 第三者にはちゃんとかっこよく見えるのに彼女の前では五年生になってもヘタレでDTだったとか超おいしいんじゃね?とか思ったら手が勝手に動いてた。
 竹谷さんも喰われる側で書きたいと頑張ってるんだけどなかなかテンポよく進まない。
 竹谷さん金吾のヘタレ具合見習うと良いよ。←どういう意味だ
20110325 カズイ
res

×
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -