◆平家だもの

※リク作品

 私、飯島小春はここ・平家の屋敷に来ている。
 来ていると言うだけあって、私の家はここじゃない。
 どこに住んでるかって?
 そりゃあいい年して腹ちらしても許される美形☆梶原景時様のお家よ。
 って言うか私の命の恩人・梶原朔ちゃんの家。
 私、この世界に来たとき川をどんぶらこと流れていたのですよ。
 ははははは!笑え?
 ……こほん。
 気を取り直して、なんで源氏側にお世話になっている私が平家にいるかというと、
「ハッロー☆」
「なっ、お前は小春!?」
 京で顔見知りになっておいた有川将臣くんに会いに来たの。
 ……ってな訳だったらよかったんだけど、そうじゃなくて。
「敦盛くんで遊んでたら、知盛に拉致られちゃいましたーv」
 本当のことを言うと、将臣は頬をひきつらせたのでしたー(某滞在記のナレ風)
 平家だし、日常っぽく言っちゃっていいよね。アハハハハ!
「……大体知盛は望美狙いじゃなかったのか?」
 将臣くんってば、もしかして私のこと……
 ……なーんて、ありえねー。あはははは!
 望美ちゃんラブ?ラブなのね!?
 夢主なのに忘れられた私痛いけど、ぃよーし!←?
「強ければそれでいい」
 にやりと知盛は笑った。
 あれれー?
「私って知盛と剣交えたことあったっけ?」
「ないが……強いんだろう?……紅獅子の戦姫殿」
「なぁにそれぇー?小春わかんなーいv」
 ぶりっ子な自分がキモいです。
 うへぁー……
「自分で言って自分でヒくな」
「ういー」
「重盛!重盛!」
 ぱたぱたと軽い音が向かってくる。
 音の方を向けば子ども版清盛。
 ちっ、中身も実年齢通りだったら飛びついてうりうりー!って可愛がるのに。
「む。来客中じゃったか」
「ええ。お宅の息子さんに拉致られて」
 愛想笑いを浮かべて朗らかに言ってみる。
「……………」
 ちっ、滑ったか。
「名は?」
「飯島小春ですけど」
「飯島か。聞かぬ名だな。下級か……」
 ぶつぶつ一人の世界に入っちゃったよ。
 つか下級っていうか庶民ですから、私。
「小春!」
「なんですかー?」
「わしは気に入ったぞ」
 何を?
「小春だろ」
「へー……」
「わしにはあれがいる」
 ?
「だからこの際重盛の側室だろうと知盛の正室だろうとなんでもよい。嫁に来い!!」
「へー……」
 誰が?
「だから、小春だろ?」
「へー……………って、なんですとー!?」
「反応おせぇよ!」
 ずびしっと将臣くんの突っ込みチョップが下された。
 畜生、貴様はどこぞのツンデレサーファーか!?
「……俺は構わない」
 ひぃ!
 色香全開で近づかないで歩く18禁!
 妊娠しちゃうじゃない!
「ぶはっ!」
「「?」」
 将臣くんがツボったのか突然噴出した。
「えー、こほん。要するにちったー構え?」
「ぎゃはははは!繋がってねー!」
「将臣は笑いすぎ」
 もう!ボケ担当なのに突っ込んじゃったじゃない。
「私まだ19なのよ?」
「適齢期と言うか行き遅れだろ。この時代だと」
 しまったー!
 えーっと……
「それじゃあ、私には心に決めた人が……」
「今考えたってバレバレ」
「ちっ」
 くそうっどうすればっ!
「助けてバイ○ンマン!」
「普通はアン○ンマンだろ」
「今の私は普通じゃない!」
 どきっぱり!
「そのばい○んまんとやらが小春が心に決めた者か?」
 よっしゃー!騙された!!
「はい、そうなんです」
 しな。
「嘘つけー!」
「嘘じゃないわ!アン○ンマンにいつも負けてるし、ド○ンちゃんに頭が上がらないけど、ヘタレで受けな感じがいいのよ!!」
「小春ってオタ……」
「ノー!アイアム腐女子!!」
 どーん。
 風はおいらに吹いてるぜ。
「くっ……そこまで想っているとは……」
 清盛は負け犬よろしく帰っていった。
「ばいばいきーん」
 将臣くんはつっこむのに疲れたようだ。
 あっは☆お疲れ様〜。
「誰のせいだ!」

  *  *  *

 夜も更けた頃、私は将臣くんの手を借りて平家を後にした。
 さっさか戻らないと敦盛くんが責任感じてなにやらかすか……
「くれぐれも敦盛で遊ばないように」
「やだひどい。私がそんなことするわけないでしょ?」
「知盛に拉致られる前に敦盛で遊んでたとか言った奴は誰だよ」
「はーい!私ーv」
「やっぱり遊んでたんじゃねぇか!!」
「違うわよ。今も現在進行形で遊んでるの!」
「なお悪いわ!」
 いいじゃん京で匿ったの私だしー、三草川で拾ったのも私だしー。
「いわば飼い主と犬って感じな訳よ」
「……小春殿」
 はっ!?
「敦盛くん、今の聞いて……」
 こくん、て頷いちゃったー!
「い、今のは将臣くんで遊ぶためでして」
「俺でかよ!」
「別に気にしていない」
「……あっつーん!」
 はし!
「私が悪かった!だから泣かないでー!!」
「泣いているのは小春殿だ」
「はうあ!あっつんが優しさが痛いー」
「す、すまない」

「……はぁ」
 まったく、どっちが飼い主だか。
「さ、帰ろう小春殿」
「おうよ!」
 って、俺のこと無視?無視なのか?
 ひどくね?
 あいつら挨拶もなしに帰りやがった。
 なんで俺あんな奴好きになったんだろ。
「……はぁ」



⇒あとがき
 タイトルとの関連性ってないかも。
 とりあえず遅くなってごめんね秋姫。
20060809 カズイ
20090715 加筆修正
res

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