◆咢と私と亜紀人

「な、なに?小春ちゃん」
 可愛い亜紀人。でも残念!今日、用事があるのは咢なのだ。
 手を伸ばそうとすと亜紀人は一度寂しそうな顔をしたけど、目を閉じて眼帯を動かす私を受け入れた。
「なんだよ」
 閉じていた目が開くと鋭利のナイフが胸に突き刺さる。
 でも、このくらいじゃあいにく私はへこたれない。
 この二人の兄でなれてるし。
「じぃー……」
「なんだっつってんだろ」
「じぃー……」
「用がねぇならむやみに呼び出すな」
「じぃー……」
「……おい、てめぇ……いいかげんに……」
「じぃー……」
「擬音を口にだすんじゃねぇ!ファッキン女!!!」
「あれれぇ?私のこと女じゃねぇっていったのはどこのどなたでしたっけぇ?」
「てめぇ……なんのつもりだ!」
「んとね、どうやって私を女と認めさせるか考えてたの」
「んで、今みたいにずっと擬音口にしながらずっと睨んでたのか」
「睨んでないもん!」
「どこがだ」
「このピュアな瞳を見てから言え!」
「……わけわかんねぇ」
 咢は重々しくため息をついた。
 ため息つきたいのはこっちだ、こんちくしょう。
「口に出てるぞ」
「え?」
 咢は私に顔を近づけてきた。
 それはもう、唇が重なりそうなほど近く。
「あ、咢?」
 ひぃぃぃぃ!!
 この可愛さの中にかっこよさが顔に弱いってのにどうしてこんなに近くにあるんだぁぁぁぁ!!
「さっきの、俺以外のやつにすんなよ、」
 ちょっと子供っぽい笑いかたした咢が私の唇を掠め取る。
「……っ!?」
 私がはっきりとした意識を取り戻す頃には、私と同じように顔を真っ赤にした亜紀人に入れ替わってしまって咢はいなかった。
 ごめんね、亜紀人。君ら二人で一人だってのに咢が突っ走り私が突っ走り……
「小春ちゃん」
「?」
 ちょちょんと亜紀人が私の服を引っ張る。
 亜紀人の方を向くとちょこんと小さく亜紀人がキスをしてくれた。
「咢だけずるいもん」
 すいません、一種の逆ハーレムっていうか、両手に花ってやつですか!?



⇒あとがき
 エア・ギア8巻を読んで突発に浮かびました。
20041124 カズイ
20070329 加筆修正
res

×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -