◆今日はこんな日

「あー、そうか、今日なのか」
「何がだよ小春」
 私より縦も横もある男が眉間に皺を寄せる。
 とはいっても決して長身デブなのではなく、長身マッチョマンなのである。
 彼の名前はマルス。ヘラクレスファクトリーの二期生スカーフェイスとして出会ったのが最初。
 実はd.M.p出身の悪行超人だった彼を知ったのはリングの上。
 もちろんすでに悪行超人として姿を現したときだ。
 私は友人に誘われてその試合を見ていた。
 正直怖い人だと思ったけど、そのかっこよさに引かれた。
 見た目と違ってかなり年下なんだけどね。

 偶然惚れたら、偶然の出逢いが付き纏って、晴れてお付き合いすることになったのが今から三ヶ月ほど前。
 私はこれからの人生の運を使い果たしたんじゃないかって思った。
 だけど、今もその幸せは続いている。

「おい小春、何ぼーっとしてんだよ」
 ぐりぐりと髪をぐしゃぐしゃにされる。
「ひぎゃー!さっきといたばっかなのに!」
「女らしい悲鳴あげろよ」
 萎える。
 はっきりといわれて私は落ち込んだ。
「んで、今日がなんだって?」
「今年うるう年でしょ?」
「ああ」
「だからさ、ほら、2月29日」
「それだけか」
「それだけじゃないよー!今日肉の日だよ」
「肉の日は2月9日」
「え!?そなの!?」
「アホが僕の日だーとか言って騒いでた」
「へー……」
 アホって大方万太郎くんのことなんだろうなぁ……
 万太郎くんのマネするんじゃなくて棒読みなのがマルスらしい。
「よし、今晩は肉料理にしよう♪」
「好きだけど……嫌がらせか?」
「ちょっとだけ」
 ふふっと笑う私にマルスが意地悪するのはまた別のお話―――



⇒あとがき
 特に意味はないです。
 しいて言うのなら、2月9日の肉の日には乗り遅れたけれど、今年うるう年だからチャンスがまだあったんだなぁ……ってだけ。
20080229 カズイ
20080502 加筆修正
res

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