◆私と陛下

「ユーリ陛下―!!」
 この国の王―――ユーリ陛下は地球生まれの地球育ち。だけど魂は眞魔国産というとっても珍しい人。
 そして私、小春はごくごく普通の地球産現役女子高生。
 現在眞魔国ユーリ陛下相談役という役をさずかっとります☆
 ……まぁ、相談してくるのはグウェンダルとギュンターくらいなんだけどさ。
 あの二人はかわいそうなくらい陛下とわがままプーと腹黒閣下に当てられちゃってるからなぁ。
 ……グウェンダルは+毒女だっけ?
「こっちだよ、小春」
 不意に小高い丘の、木の根元から声がして、私はそっちを向く。
「ユーリ陛下。ギュンター閣下が探しておいでですよ?」
「ちょっと休憩してただけだよ」
 立ち上がったユーリ陛下は服についた草をパンパンと軽くはたく。
「御身を大事にしてください、ユーリ陛下。あなたは眞魔国の王なのですから」
「それから、その陛下ってのやめろよなぁ。俺と年かわんないし、小春はあっちの人間だろ」
「いーえ。他のものに示しがつかないようでは、ユーリ様の信用が失われて……」
 言葉の続きは途切れてしまった。
「様でもだめ」
 にやっと笑ったユーリ陛下。
 あぁ、とうとう腹黒閣下の色に染まってしまったのですね……(泣)

「……みーたーぞー!」

 不意に背後から殺気を感じて振り返る。
 そこに居たのは金髪の八十代。わがままプーもといフォンビーレフェルト卿ヴォルフラム。ユーリ陛下の婚約者。
「この浮気者!!」
「うわ、やめろ〜!!」
「炎に属する―――」
 二人が走っていくのを見ながら私はため息をついた。
 ああいうお邪魔虫がいつ現れるかわからないのに、呼び捨てなんか簡単にできるわけないじゃない。
 ねぇ、ユーリ。



⇒あとがき
 えー……言い訳させてください。
 というのも、この作品、実はユーリ夢じゃなかったんです。
 ヴォルフラム夢がなんだかどうだかなっちゃってユーリ夢になっちゃったんです(汗)
20041206 カズイ
20080328 加筆修正
res

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