◆夢から覚めても
あいつは僕とそっくりだった。
だから僕は嫌いだった。
「ユウナ」
「ティーダ?」
くるっと振り返った先にいたのが僕だから、ユウナは驚いたんだと思う。
そっくりだけど、僕は女の子だし、あいつじゃないし。
「リディア……」
「ティーダじゃなくてごめんね」
精一杯の笑みを浮かべて笑う。
ユウナもリュックも再会を喜んで、仲間のパインって人を紹介してくれた。
今もまたあの時と同じで、同じ職業だけど、フリーの三人と違って僕はバックにムカつくやついるから。
その日はそれだけで帰った。
結局、僕はなにがしたかったのか、わからないまま。
部屋に入ると、なぜかバラライがいた。
「リディア、大丈夫ですか?」
新エボン党と呼ばれる場所が、今の僕の帰る場所。
バラライはここの新しい議長。
僕のガードだった三人は、それぞれ新エボン党・青年同盟、アルベド族のマキナ派とそれぞれバラバラに別れてしまった。
生まれた場所といっても過言ではないエボンから離れられない僕はここにいる。
腹立つけど、スフィアハンターってあんまり稼ぎがないからバラライに養われてる状態。
「大丈夫」
心配する手を払って、ベッドの縁に座り込む。
座っただけじゃなんだか気だるくてベッドに沈み込んだ。
「今回はどこに行っていたんですか?」
「ビサイド島とビーカネル島。……元気かどうか見てきただけだから」
言い訳のように付け足すと、バラライはベッドまで近づいてきて頭を撫でてくれた。
なんでか、わからない。
けど、バラライは僕にかまう。
うざいっていっても、嫌いだって言っても。
絶対に離れない。
こうやって部屋にいるのも、今に始まったことじゃない。よくあること。
「離れないでくださいね、リディア」
「知らない」
口ではこういうけど……嫌いじゃない。
布団にもぐりこむと、その上から抱きしめられた。
「離れないでくださいね」
「……僕、眠たいから」
「わかりました。おやすみなさい。また明日、リディア」
きっと言わなくてもバラライにはバレてるから。
いつか……あいつにはっきり嫌いだって言われたら。
そしたら言うから、待ってて……絶対に。
⇒あとがき
夢から覚めても、君がいますように。
そんな意味で書こうとしたらこうなって、全然わけわかりませんな。
バラライ→ヒロイン→ティーダ→ユウナって感じの小説を書いたやつをいじっただけです。サボりでごめんなさい。
20040925 カズイ
20070329 加筆修正