◆くだらない
※幻水(無知)とクロスオーバー
大の字になって悠々と流れる雲を追いかけていた視界を自らの手でふさぐ。
この空の下、僕がいるこの場所はアーリグリフと僕がいるはずの陣営・シーハーツとの間で大きな戦争があった。それもついこの間のことだ。
だけどそれはある一つの出来事によって休戦となった。
バンデーンの上空からの攻撃。
バンデーンの船はフェイトに秘められた力で破壊された。
ちなみにバンデーンの狙いはフェイトのその力だったらしい。
それを伝えたのはマリアと言うクオークのリーダー。
女版フェイトって感じのまだ若い女性だった。
クオークはクリフが所属する集団ってくらいしかまだ理解してないんだけど……
僕の知らない世界はまだまだこの先にいくつもあるのだろうか、何かもう嫌だ。
神様の意地悪ってヤツの所為で僕はこの世界みたいに異世界と奴を渡り歩いている。
ちなみにここで五つ目だ。
僕の術の師匠であるレックナート様曰く、僕は世界に固定しきれない不安定な存在になってしまったのだとか。
正直ふざけるなと思ったんだけど、怒る相手は消滅しちゃったとかなんとかで行き場のない怒りを修行に当てようとしたら、同じく怒ったらしいルックに八つ当たりされた。
……本当酷い奴だ。
とはいえ僕みたいに固定されない存在になった奴がもう一人いるて、たまに会うけどあっちはあっちで楽しんでるらしいから無視だ。
流石に五つ目の世界だと何となく変える時期ってやつがわかるらしい。
もうそろそろこの世界とはお別れだ。
今、フェイトはFD世界と言うものを知った。
アルベルを仲間に加え、決戦は間近だ。
「何を考えてる、春哉」
「……アルベル」
不意に掛けられた声に手を外すと、アルベルがいた。
今はクリエート中でここに居るはずのないはずなのに……まさかサボり?
「……どうしてここに?」
「ふん。メンバー交代だ」
胸を張って言うアルベルはぽすんと隣に座った。
サボりなわけがないだろう、ですか。
はいはい、ごめんなさいね。
アルベルは僕がこの世界へ来てはじめて出来た男友達だ。
今まではアーリグリフとシーハーツで敵国に位置していたけど、今はこうして共に戦う仲間だ。
「なにかあった?」
「なんもねぇよ。それより、くだらねぇことばっかり考えてると殺すぞ」
「アルベルに殺されるほど僕弱くないんですけど」
事実だ。
こちらでいうところの施術を僕は身につけることとなった。
紋章とあまり変わらない扱い方なので簡単に、だれよりも強く扱うことができる。
その力はシーハーツの女王と互角。いや、もしかしたら……
「だが、今は弱い」
アルベルの言葉が胸を刺す。
確かにそうだ。
僕は今、怯えを抱いている。
君を失うと言う、君と言う友を見失うと言う恐怖に。
「くだらない、かな?」
僕は吸血鬼で、決戦の日はちょうど満月の次の日。
僕が一番嫌いで恐れている日の次の日。
本当に後少しだ。
「ああ、くだらないな。……そうなる前に血くらい好きなだけやる」
アルベルは腕を僕の前に差し出し、真剣な目で僕を捕える。
「ありがとう、アルベル。……でも僕、血を飲むのが嫌いだっての忘れないで」
「好き嫌い言うから怖いもんになるんだろう。阿呆が」
「……おっしゃる通り」
⇒あとがき
主人公は吸血鬼で、アルベルとお友達。
はい、わかった人はすごい。これは時空を駆ける子供たちの異国の剣士の某シーンに巻き込まれてやってきた男の子が主人公です。
時間としては1と2の間くらいかな。
ぶっちゃけますよ。FD世界行ったあたりでゲームを貸してしまいました(だめじゃん)
20041106 カズイ
20090304 加筆修正