□Deviation Of Father

※「Secret Promise」で登場したのが獅郎と言うNG

「……何してんだお前ら」
「ふ、藤本先生!?」
 慌てて燐から離れた蝮に燐は「あー」と残念そうな声を零し、蛇も寂しそうに小さく鳴いた。
「ってなんだこのデカイ蛇は!?宝生!燐の前で何を呼び出して……」
「とうさん!」
「って、燐!お前それ見えてるのか!?」
 蝮に対して教師として注意をしようとした獅郎を燐が止めた。
 だがその燐が蛇の身体に触れていることに気づいた獅郎はずれ落ちていない眼鏡を思わず掛け直して確認をしてしまった。
「ナーガを呼んだのはおれだ!」
「なんだとぉ!?どこの悪魔だ俺の大事な燐に魔障与えた奴はあああ!!!」
 ガシャンッとマシンガンを二つも構えた獅郎に燐は目を大きく見張った。
「と、とうさん?」
「お前の敵は俺が撃ち殺す!!どこのどいつだごるぁあああ!!!」
「ふ、藤本先生、落ち着いてくだはれ!」
 普段の温厚なイメージから程遠い獅郎の様子に蝮は慌てて獅郎に抑えるように燐と蛇を守る様に獅郎との間に立ちはだかった。
 そもそもそこまで獅郎の事を知らない蝮だが、どの位燐に対して親馬鹿な面を見せているかはよく知っている。
 何しろ柔造に「藤本先生を怒らせたらあかんで。自分も気ぃ付けや?」と反らして言われたのだからよほどのことがあったのだろう。
 それが今目の前にあるのだと思えば少し冷静に慣れた。
「大体宝生が居たってのにこの目に入れても痛くないほど可愛い燐に魔障与えるってのはどういうことだ!」
「い、いや、せやから……魔障の儀式はその辺の小鬼[ゴブリン]で毎年してはるやないですか」
「その小鬼はどれだっ」
「そんなんもうとっくに志摩のお申が始末してはりますて」
 呆れた親馬鹿っぷりだ。
 ちらりと燐を見れば、燐はぽかーんと口を開き、蝮の陰から見える父の姿に驚いているようだった。
「藤本先生、燐が驚いてはりますえ?」
「!」
 はっと正気に返った獅郎は慌てて取り出したマシンガンを仕舞い込み、でれっとした顔を見せる。
「燐〜♪」
「!」
 びくっと肩を揺らし、燐は蛇の身体に抱きつく。
 その様子に獅郎は表情を顎を落とし、青ざめた顔で凍りついた。
「……燐、とりあえず蛇仕舞い」
「う、うん……じゃ、じゃあな」
 燐がそう言えば、蛇はちらりと獅郎に目配せして鼻を鳴らした後、しゅるりとその姿を消した。
「あねさま」
「なんや燐」
「とうさん、うごかねえんだけど」
「……そっとしといたり。今は触れたらあかん」
「う、うん……」
 さて正気に戻った時になんと説明すべきだろうと蝮は思考を巡らせ、深く溜息を零すのだった。



⇒あとがき
 とりあえず間違って獅郎さんが来ちゃった場合。
 ……まず燐が魔障を受けたって事がNGかと思ったけど、それはなくちゃいけないからOK。
 獅郎にバレるのがNGだよなと思って実際はネイガウスになったのです。
 途中まで書いてたのでそれに肉付けしてはい、完成。がこのNGでした。NGまたやりたいですね。ふはははは!
20110726 カズイ
20110812 加筆修正
res

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