□君を守ると誓う

「ゼロ、ひとつ聞いてもいいだろうか」
 不意に藤堂がゼロを引きとめてそう言った。
「なんだ」
 今しがた話していた作戦の質問だろうかとゼロも足を止めて藤堂の言葉を待つ。
 周りもそう思って聞き耳を立てながらも己の作業を手にしていた。
「俺は君と会っていないだろうか?七年前の夏、日本が日本だった時代に」
 藤堂の言葉に一人、また一人と動きを止め、ゼロと藤堂に視線が集まる。
 何だなんだと言う視線の中、ゼロはため息をひとつ吐いた。
「何故そう思った」
「何故か……俺にもよくはわからない。だが君が彼ならば、君のブリタニアに対する憎しみも、スザクくんを助けた理由も理解できる」
「もしそうだとしたらお前は私にどうしてほしいんだ」
「ここで俺の名とその誇りに掛けて誓う。俺は君を必ず守ると」
「……何故?」
 ゼロの声が震えているのがわかった。
「自らゼロを名乗るような君を一人にはしておけない。ブリタニアで何があったのかは知らない。だが君がブリタニアに利用されたことだけは理解しているつもりだ」
「利用だと?知ったような口を―――」
「事実、私の知る彼は鬼籍の人間だ。でも君は今目の前にいる」
「きせきって……奇跡じゃぁないよね?ゼロは死人ってこと?」
「お前は黙ってろ」
 ゼロを指さしながら問う朝比奈に千葉が肘を入れた。
「君はブリタニアに仕立て上げられた被害者だ
「俺はまだ答えを聞いていない。俺と君は七年前の夏、会った」
「確信しているんだな」
 ゼロはふっと笑い、肩をすくめて見せた。
「そうだ。俺とお前は七年前の夏、会っている。全部で二度だ。よく覚えていたな」
「最初に会った時、君はブリタニアの言うところの弱者をその背に一人あの長い石段を上りきった。あの強い目が今でも一番印象に残っている」
 懐かしむように目を細めた藤堂にゼロはくすりと笑った。
「皮肉だな、私もよく覚えているぞ。信じられないものを見るようなお前の顔を」
「……言うな」
 素の表情を晒していたと指摘され、藤堂はバツが悪そうに眉間に皺を寄せた。
「まぁいい。お前が知っていようといまいと私はこの仮面を剥ぐつもりはない。それでもお前は俺を守ると誓うか?」
「誓う。必要とあらば君だけでなく彼女も守ろう。俺のこの両手では少々足らぬかもしれないが」
「自分の身の丈を理解しようとしているお前にならばすべてを任せられる。それに比べてあいつは……」
 忌々しげにゼロは言ったが、それ以上の言葉は紡がなかった。
「お前がそう言ってくれてよかった。ありがとう、藤堂」
 おそらくは仮面の下で微笑んだであろうゼロに藤堂はただ「ああ」と答えた。

 微笑んだ意味を知るのは、彼にとって優しかった箱庭が壊されたと知ってから―――



⇒あとがき
 毎度のことながら意味不明でごめんなさい。
 久しぶりに藤ゼロでゼロバレしたかったのと、ゼロバレしても仮面脱がさないってのはありかなとか思って書きました。
 後、朝比奈と千葉の無駄遣いをしてみました。あははは。
20080502 カズイ
res

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