□兄弟愛

「なぁロロ」
「なに、兄さん」
「前にロケットの話をしたよな」
「ダメだよ!」
 これだけは譲れない。
 誕生日もない僕に唯一送られたもの。
 兄さんがくれた―――
「くっ」
 兄さんは途端に笑いだし、椅子に背を預けた。
「取り上げるつもりはないって。何か別のものがほしくないか?」
「え?」
「ほら、言ってみろ」
 促す兄さんの後ろから会長が抱きつく。
「せっかくルルちゃんがいいって言ってるんだからねだっちゃえば?」
「会長、重いですよ」
「ルルちゃ……」
「る、ルル!女に体重の話は禁句なんだからね!!」
 会長が何か言う前にシャーリーさんが兄さんを指さして叫ぶ。
「そうだぞルルーシュ、うらやま……じゃない、失礼だぞ」
 リヴァルさんがそれを応援している。下心が見え隠れしてるけど。
 とりあえず、会長はおとなしく引きさがり、兄さんは再び僕を見る。
「ほら、遠慮するなよ、ロロ。お前は俺の弟なんだから、わがまま言っても誰も怒らないぞ」
 優しく微笑む兄さん。
 僕は兄さんを裏切れない。
「本当ルルーシュは弟に優しいね」
「当たり前だろう」
 スザクさんの言葉に、兄さんは僕の腕を引っ張ってその細い腕の中に抱き寄せた。
「ロロは俺の大事な弟なんだから」
 囁かれる言葉は甘美だ。
 僕は完全に兄さんに囚われている。
 でもスザクさんの手前、知られてはいけない。
 兄さんはひどい人だ。
「だったら……」
 僕は兄さんの腕を緩めさせて、耳元に囁いた。
「兄さんの唇がいいな」
「ほえあ!?」
 顔を真っ赤にして素っ頓狂な悲鳴をあげた兄さんに僕はくすくすと笑った。
「ちょっとぉ、何言ったのよロロちゃん」
「兄さんが一番大好きだから兄さんが欲しいいって言ったんです。冗談ですけど」
「……そりゃぁブラコンのルルーシュには決め技だな」
 うんうんと頷くリヴァルさん。
 ほほ笑みの裏で、僕を射抜くスザクさんだけが気づいてる。
 僕が兄さんに抱く、兄弟愛とは違う想いを―――

 これくらいは許されるよね?
 兄さんを苦しめ、また苦しめる、枢木スザクを出し抜くくらいさ。



⇒あとがき
 ロロルル書いてみた。
 スザクが出てくる前にフライングスザク登場。
 中途半端でごめんなさい。真夜中につらつら書いてるものでorz
20080502 カズイ
res

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