□友の死を踏み越えて

 白い残骸。
 そうしたのは私。ではなく、藤堂さん。
 破壊された―――敵。
 それを操っていたのは"枢木スザク"

 日本最後の首相枢木玄武の息子。
 名誉ブリタニア人としてブリタニアに下った軍人。
 クロヴィス暗殺の際は容疑者として上げられ、ゼロに救われた。
 しかし差し伸べられた手を振り払った。
 二度も。
 だから彼は敵だった。

 私にとって
 ゼロにとって
 黒の騎士団にとって

 ずっとそうだと思ってた。


「……スザク」


 無感動にゼロが紡ぐ。
 どこか哀れみを孕んだその言葉。
「ゼロ」
 名を呼んで私が止めるのも聞かず、ゼロは残骸に手を伸ばした。

「私たちを裏切ったからだよ、枢木スザク」

 ゼロはくすくすと笑う。
 なんだか、怖かった。

 私たちと言うのが、黒の騎士団ではなく、ゼロと誰かを指しているようで。
「ゼロ!」
 置いていかれるような気がした。
 私が掴んだ手と逆の手で、ゼロは私の頬を撫でる。
「さぁ行こう。私たちに立ち止まることは許されないのだから」
「はい、ゼロ」
 クラスメートでもあった少年の死を忌まず、私たちは歩き出した。

 立ち止まることは許されないから。



⇒あとがき
 スザク死にネタ一回やってみたかった。それだけ。
20070529 カズイ
res

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