□恋の始まり?

 ふと、視線が気になった。
 じーっと……多分見てると思う。
「えっと……ゼロ?何か用ですか?」
 取り合えず声を掛けてみる。
 ゼロははたっと気づき、「ああ」と返事をした。
「藤堂さんなら部屋に居ますけど」
「いや、藤堂に用ではない」
 じゃあ何でここに来たんだ?
 零番隊の隊長である紅月はいないし。
 んんー?
「お前、自分に用事と言う考えはないのか」
「ああ、そう言えばここに居るの俺だけか」
 思わず口に出してしまった。
 ゼロが呆れたようにため息をついた。
「あは、あはははは……そうですよねー」
 これはもう笑ってごまかすしかないと思う。
「で、何か用ですか?」
「別に用というほどじゃないんだが……」
「はぁ」
 ゼロが言葉を濁した。
 なんか珍しいなぁ。
「その傷、が……少し気になってな」
「これですか?」
 俺は上下に走る左眼の傷をそっと指で撫でた。
「やはり、対ブリタニア戦の時に?」
「んー……まぁ……どうでしょう?」
「俺に聞くな!」
 あ、ゼロが突っ込んだ。
 っていうかゼロ、今"俺"って……
「っ!?」
 ゼロも気づいたようで、突然背を向けた。
「……言うなよ」
 そう言い残して颯爽と消えていく。
 かっこいいんだけど……なんか、可愛いかも。



⇒あとがき
 どうやらきゅんと来てしまった朝比奈氏。
20070527 カズイ
res

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