自分の危険性に気付いたら
「ねぇ、ルルーシュ」
「なんだ?」
「これはナナリーにも聞いてほしいんだけど」
「はい、なんですか?スザクさん」
別れた7年前よりも美しくなった二人にスザクは兎に角驚いた。
予想以上に二人は美しいのだ。
改めて皇族の血と言うものを二人に感じたのはそこだと思う。
「……僕は軍人になって名誉ブリタニア人になった。ブリタニアを内側から変えたいってそう思った……だけど僕の力なんて、覚悟なんてちっぽけだって気付かされた」
「ゼロか?」
「うん」
ゼロが現われて衝撃を覚えた。
やり方は少々悩むところがあるが、彼ならば全て有言実行にしてしまいそうな気がする。
自分なんかよりもいとも簡単に―――
「気付いたら悔しくて……ちょっと考えてみた」
「何を、ですか?」
「何でブリタニアを内側から変えたいって思ったか」
7年前、まだ小さかったルルーシュはその瞳に復讐の炎を確かに宿していた。
今はそれを上手く隠しているのだろうが、きっとルルーシュはそれを忘れては居ない。
ルルーシュの考えは多分ゼロと近い……いや、同じと言っていいかもしれない。
「僕はナナリーに優しい世界を見せたかったんだ。ルルーシュが望むんだから」
「スザク……」
「スザクさん……」
「そう考えたら僕がここにいるのっていけないことじゃないかな?」
「そんなことありません!」
「だって僕はブリタニアの軍人だし……僕を学校に行くようにしてくれたのはユーフェミア皇女殿下なんだ。……君たちを危険にさらしてしまうかもしれない。折角隠れて生き延びててくれたのに」
「スザク、俺たちはもう無力なだけだった子どもじゃない。アッシュフォードには迷惑をかけることになるかもしれないが逃げ道がないわけじゃない」
「それは、黒の騎士団?」
「……そうとも言えるが違う。キョウト六家だ。あそこには神楽耶がいる」
「神楽耶、か。懐かしいな……」
年下の従妹の姿は7年前から見ては居ないが、生きていることだけは解った。
彼女は日本の象徴。死ねばこの国は必ず騒ぐ。
「君たちが生きて無事でいてくれるなら、僕は軍人であることを捨てるよ。それだけは覚えてて」
軍人であることを辞めることはできない。
でも、二人のためなら自分は死ねる。
言外に言い含めた微笑にルルーシュは困ったような顔で見つめた。
そんな仮定の未来など来なければいいのに。
だが今更二人の道は変えられないのだった。
⇒あとがき
空気読んだ場合のスザクの考え方の変化について書こうと思ったけど上手く書ききれませんでしたorz
20080325 カズイ