02.リフレイン

 私、わかったよ。
 栄純……それはね―――



「……んっ」
 もぞっと布団の中でもがき、けれど朝だからと目を開ける。
「ふあ……」
 大きく口を開け、欠伸を一つ。
 夢を見たような気がするが、どうも思い出せない。
 すべて何時ものことだ。

 まだ日が上がっていないこの時間に起きて、軽く走って、朝食に向かって朝の部活。
 そのためにはまず顔を洗いに行かなければ、このぼんやりした頭をしゃきっとしなくてはならない。
 その前にトイレでも行くかと思い、起き上がろうとした。
 だがそこで気づいた。

 落ち着け、胸に手を当てて深呼吸。
 だがそれもある意味大問題であった。

「ひぎゃー!!くくくくく倉持ぃぃぃ!!!!」
 思わずまだ寝ているであろう先輩の下へと飛び出した。
「あぁん!?うるせぇ……よ?」
 泣き出す後輩に倉持もただならぬ空気を感じ、起き上がった。
「……なんだ?」
 もぞもぞと巨体を起こし、増子も起き上がる。
「沢村ちゃん?」
「どーしたらいいんすか……俺」
 増子を振り返り見た沢村は更に涙を溢れさせる。
「お前下らないことで起こしたんなら締めるぞ」
「もう締まってるぅぅ!!」
 ギブギブとベッドの端を叩き逃れようとする。
「ぷはっ……」
 床に四つんばいになり、ぜいぜいと息をする。

「で、なんだよ」
「あるもんなくてないもんがあんだよ!」
「「……は?」」
 倉持も増子も首を傾げる。
「あるもんなくて」
 下肢を指差し、
「ないもんあるんだよ」
 胸を指差した。
「「は?」」
「だーかーらー!俺女!」
「なっ!?」
「そうだったのか!?」
「じゃない、女になっちゃったかも?」
 ちょこんと首を傾げる栄純をここでよく観察してみよう。

 元々この青道にあって、一年生である栄純はまだまだ華奢な部類に入る。
 それほど高くない身長は同じ一年の小湊ほどではないが、全員を並べてしまえば小さいほうに入る。
 だがこのように中性的な曖昧な少年であっただろうか。

 倉持は手を伸ばし、栄純の胸元を触ってみた。
 さすがに下半身は遠慮したいと言う思いからだった。
「なにす、ん、ぃやっ」
 どうやら本物のようだ。
 栄純は顔を赤くし、増子の後ろに隠れた。
「気持ち悪いことすんな!」
「だったらお前も変な声だすなぁ!!」
 ぎゃあぎゃあと騒ぐ二人に挟まれている増子は完全に硬直していた。
 その顔は真っ赤だった。
 後で正気に戻った二人が見た時もその状態だったのだから、増子も可愛いものだ。


一体なにがどうなっているんだ!



⇒あとがき
 本当、女体化好きだね、私。
 栄純の声はきっと二人にずきゅんときちゃったんでしょうね。下半身に。←下品。
20070418 カズイ


res

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