空から降る花

※光明編08のボツ。当初はカレンのところにゼロが現われる設定だったんです。
※シュナイゼルがアホで黒いです。


「さてさて、去年は不発に終わった学園祭。ブリタニア人と日本人共学になって初の学園祭だよ!皆、楽しむぞー!!準備はいいかー!!」
 新たに会長となったリヴァルが高らかに宣言する。
 一応この場には去年までの会長ミレイさんもいる。目の前の大学に通ってるだけだしね。
「それでは、開会は去年と同じく、この声で行っくよー。はい、ナナリーちゃん」
「はい」
 ナナリーちゃんは微笑み、息をすうっと吸い込んだ。
「にゃーぉ」
 その声で学園祭は始まった。
「いやぁ、ナナちゃんは相変わらず可愛いねぇ。スザクくんがいなきゃ私がお嫁さんに貰うのになー」
「ミレイさん!」
 スザクが顔を真っ赤にして怒った。
 可愛い奴だ。本当。
 こういう平時は時折こうやって疑いたくなる。
 あんた本当にあのときのランスロットのパイロット?って。

「そう言えば、今年はピザ生地、カレンが作るんだって?」
「ええ。スザクさんは去年失敗したからダメって私が言ったんです」
「うっわー。ナナちゃん言うようになったね」
「スザクは尻に敷かれてるんだよなー」
「やめてくれよホント〜」
 しおしおとなるスザクに、私はくすくすと笑う。

「た、大変!」

 扉が開くと同時に、ニーナが慌てた様子で入ってくる。
「どうしたの!?」
「シュナイゼル様が来てるの!」
「シュナイゼル様ぁ!?」
 ばっと軍に所属しているスザクに視線が向かう。
「し、知らないよ!」
「シュナイゼル様って突拍子も無い行動取るって言ってなかった?」
「そう言えば……」
 私たちは当然動き出した。
 ナナリーちゃんはニーナに任せて、兎に角急いで!


「やあ」
 笑みを浮かべるシュナイゼル様。
 傍には騎士が二人いて、皆が皆ほんの少し遠巻きにシュナイゼル様を中心に輪を作っていた。
「やあじゃありません!」
 私は思わず叫んでいた。
「あなたは今皇帝なんですよ!?なーに騎士二人しか連れないで遊びに来てるんですか!!」
「か、カレン!?」
 リヴァルが驚きの声を上げる。
「まぁまぁ。そう怒鳴らないでくれるかな?紅の君」
「寒い言い方しないで下さい!って、良く見れば騎士の片方実はコーネリア様だし!!!」
「うっ」
 図星なのか、変装した騎士が言葉に詰まった。
 バレタと諦めて、騎士は帽子を取った。
 やっぱりコーネリア様。
「あっは〜やっぱりばれちゃったぁv」
「もう一人はロイド伯爵か……ってあなたも何してるんですか!!し・ご・と・は!?」
「だって〜我が君に招待されたんだも〜ん」
「も〜んって、いい大人が……え?……今、なんて?」
 聞き間違い?
「だ〜か〜ら〜!我が君に招待されたの!」
「なんであの人が……」
「ねぇ、なんなの?この展開」
 リヴァルの言葉にはっとする。
 皆知らないんだった。
 私が元黒の騎士団の紅の騎士ってこと。
 もちろん、今の所属も―――

「何故シュナイゼル陛下にコーネリア殿下がいる。確かロイド伯爵しか招待してなかったはずだが?」

「と、藤堂さん!?」
「久しぶりだな、スザクくん」
 よ、よかった……言葉を飲み込んで。
 っていうかやっぱ知り合いだったんだ。二人。
「あのさぁ、僕は我が君に呼ばれたのぉ〜なんで君が……」
「ちょっ、藤堂さん!?」
 藤堂さんの腕の中には赤ん坊がいた。
 藤堂さんと同じ黒髪の……え?
「お子さん、ですか?」
「俺の子だ」
 に、似合わないっ!!!!
 果てしなく似合わない!!
 でもその抱き方は堂に入ってる。
「戦争中に子作りなんてさすがは奇跡の藤堂、余裕だね」
「皮肉ですか?シュナイゼル陛下」
「はっはっはっ」
 笑顔で誤魔化したけど、この人黒い。
 でも、確かに見る限り、そのくらいの子だった。
「うわぁ、可愛いv」
 ミレイさんが思いっきり覗き込んでいた。
「妻に似ているからだろう」
 目を細め、柔らな笑みを浮かべる藤堂さん。
 ……あなたは幸せなんですね。
「男の子ですか?女の子ですか?」
「女の子だ」
「色白いなぁ……って、あれ?奥さんってもしかして……」
「ああ。妻はブリ……」

『アシュフォード学園に集う諸君』

 藤堂さんの言葉を遮って、変声機越しの声が響いた。
『これは私からの祝いの花だ。どうか受け取ってほしい』
 空から花が降っていた。
 色取り取りの、沢山の花。
『特に……私の紅の騎士に』
「ゼ、ロ……」
 空に浮かぶKMF。
 見たことのない機体だったけど、フロートシステムで空を駆る機体の色は漆黒だった。
 ゼロの色。
 私たちの色。

 私は涙を流していた。



⇒あとがき
 子どもは女の子だったのか……でも今は男の子にしようかなぁとか考えてます。
 まぁ、でも結局は書き進めていかないと判らないという運任せ☆←いつものこと
 全体に花を届けることでカレンがゼロの騎士だとわからないようにしようかなとか考えてたんですけど、やりすぎだよゼロさまww
20070417 カズイ
20071220 追記
res

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