ゼロバレ

※05辺りのボツメモです。当初はここでゼロバレしちゃうつもりだったみたいです。

 屈辱に歪むコーネリア。
 その横には笑みを湛えたシュナイゼル。
 二人の皇族の前に立つのはゼロ。
 このような光景を誰が想像できたというのだ。
 二人の後ろには銃口を向けられた特派と騎士。
 ゼロは笑った。

「シュナイゼル・エル・ブリタニア」
 ゼロはすっと自らの右手を差し出した。
「ゼロ!?」
 カレンが驚きの声を上げる。
 だが、それに動じた様子も見せず、シュナイゼルは膝をつき、ゼロの差し出された右手にキスをした。
「お久しぶりです、我が愛しの君」
 誰もが息を飲む。
 シュナイゼルが停戦を持ち出した理由に。
「兄上……一体」
 困惑するコーネリアに、ゼロは笑いかけた。
「あなたは愚かだ。何故気づかない。ユフィは気づいたというのに」
 親しげに呼ぶ名。
 それは自らが殺した皇女の名。
「ゼロっ貴様ぁ!!!!」
 憎しみの篭ったスザクの声。
 ゼロはただ笑う。
「彼女は愚かだった。無知であることに恥じはするが、学ぼうとしない」
「そうだね。私はただ"いい考えだ"としか言ってなかったのに……あのようなことを宣言するから」
 悲しそうにシュナイゼルは目を伏せた。
「だがお陰で機は早々に熟した。今こそ宿願の時」
 ゼロは高らかに宣言した。

「ブリタニアをぶっ壊す!!」

 スザクは目を見張った。
 その言葉を7年前、口にしたのは誰だ。

「ルルーシュ?」

 歓声にかき消された呟き。
 仮面の奥で、笑う級友がスザクの脳裏に過ぎった。

「ざぁんねんでした」
「ロイドさん?」
「君は我が君をを裏切ったんだよ」
 楽しそうに笑うロイド。
 ゼロが特派の面々に歩み寄る。
「久しいな、プリン伯爵」
「あっはー!ちゃんとロイドって呼んで下さいよぉ」
「ラクシャータがそう言っていたからついな」
 ゼロはくつくつと笑った。
「ロイドを放してやれ」
「あ、はい」
 ロイドを拘束していた黒の騎士団のメンバーが困惑しながらもロイドを離した。
 そして差し出された右手にシュナイゼル同様のキスを落とした。
「我が命は我が君のために」
「ロイド、さん?」

「まさか!」

 コーネリアの叫びがやけに響いた。
「ああ、やっと気づかれましたか、姉上」
 仮面に手が掛けられた。

 まず見えたのは深い紫。
 次に現れたのはブリタニア人に多く見られる色の白い肌。
 伏せられた長い睫がゆっくりと開かれる。

「ルルーシュ!?」

 カレンの驚きの声に、それぞれ反応があった。
 ルルーシュ・ランペルージを知る者。
 ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアを知る者。
 またどちらも知らぬ者。

 服の中へと隠された髪が広がる。
 あどけなさの残る美しき少女の姿がただそこにあった。
「"ルルーシュ"?誰のことを言っているんだ?」
 くすくすと笑い、ゼロはシュナイゼルに歩み寄った。
「シュナイゼル、今すぐ兵を整えろ。すぐに向かうぞ―――ブリタニア皇帝の元にな」
「はい、我が愛しの君」
 シュナイゼルはすでに皇子ではなかった。
 ゼロの騎士。
「ロイドは特派を機能させろ。まぁ……パイロットが使えなければ必要ないかもしれないがな」
「ルル?」
「ああ、お前は"あれ"を知っているんだったな」
「ゼロ」
 藤堂がゼロとスザクの間に立った。
「藤堂」
 二人の睨み合いに場が鎮まった。
「……わかったよ」
 ゼロが肩を竦めて見せた。
「枢木スザク、君が望まないのなら出撃は見送ろう。しかし君は知りすぎている。……私が王を討つその時を見届けていただこうか」
 歪んだ笑み。
「私に彼女を殺させた、死にたがりのユーフェミアの騎士」
「あ……」
 囁かれた言葉に突き放される。
 崩れ落ちたスザクに誰が言葉を掛けられると言うのだ。

「ゼロ」
「わかっている。総員、指示があるまで自由にしてかまわない。だがいつでも出撃できる準備をしろ。藤堂、それに仙波、卜部、朝比奈、千葉、カレン、扇はついて来い」
 返事を待たず、ゼロは歩き出す。
 その後を藤堂以下名前を呼ばれた者たちが追いかけた。



⇒あとがき
 光明編の残骸の山が残ってたので発掘。
 正式な執筆日はわかりませんが、とりあえず加筆日にあわせときます。
20071220 カズイ
res

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