03.魔女と魔神
「おいルルーシュ」
ノックもなしに開いた扉に、ぎょっとした顔で見慣れた共犯者の顔が振り返る。
ついでのいたずらが成功したとばかりににやりと笑ったが、してやられたのはこっちの方だった。
マリアンヌによく似た白い肌の少年の胸元には少々小ぶりながらも確かに私と同じ乳房があった。
「……女?」
「ほえあっ!?」
気づいたルルーシュは咄嗟に座り込んだが、おかげで下肢の方もしっかり確認できた。
「で、出て行けっ」
クラブハウス内と言うこともあって大きな声で叫べないルルーシュに逆らい、私はシャワールームの扉を閉めた。
「お前、妹にも隠しているのか?あのメイドにも」
「お前には関係ない」
「関係ある。私はお前の共犯者だ。知る資格がある」
しばらく睨むような視線と真正面で向き合う。
先に反らしたのはルルーシュだった。
「……隠してる。ナナリーも咲世子さんも知らない」
「今まで隠してきたのか?幼い頃からずっと」
「母上が決めたことだ。庶子の生まれで男児を産めば反感があるだろうが、そうする必要があると―――それに女では生きづらいところなんだよ、皇室(あそこ)は」
「これからも隠し続けるのか?」
「……そのつもりだ。さすがにルーベン―――ミレイとミレイの祖父でここの理事長は知っているがな。ヴィ家の後見人だったし、唯一母がすべてを話した人なんだそうだ」
ルーベン……ルーベン・アッシュフォードか。
随分と懐かしい名前を聞いたものだ。そうか、あいつ、まだ生きていたんだな。
そろそろくたばったかと思っていたぞ。
「他には?」
「誰も知らない。ルーベンだけだ。離宮のことはすべて母が仕切っていたし、皇族として人に安易に肌を見せないと言う方便を立てていたから」
「そうか。―――大変だったんだな」
服が濡れることを厭わず、止め忘れられたシャワーの下、蹲るルルーシュの身体を抱きしめた。
「これからは私もその秘密を守ろう。私はお前の共犯者だからな」
強張ったルルーシュの身体からその言葉一つで緊張が解ける。
あの日マリアンヌとも約束したからな。
お前を―――マリアンヌの子どもであるルルーシュを守ると。
それにしてもマリアンヌが息子と言っていたところを見ると―――あいつも生まれてびっくりしたんだろうな。
確かに絶世の美貌の持ち主ではあるが、完全な未成熟の身体は別名幼児体型とも言うな。言ったらこいつは怒るのだろうが……
「……何を笑っている」
「ただの思い出し笑いだ。気にするな」
「魔女に思い出すような思い出があるのか?」
「あるさ。幸せだったころの思い出だよ」
⇒あとがき
C.C.さまが大好きです!
CP関係なくルルーシュに優しい存在と言うのがポイントです。藤堂さんと同レベルで大好きだ!!
タイトル魔神じゃなくてゼロにしようかと思ったのですが、他が漢字二字だったので統一してみましたw
20080509 カズイ
20080903 加筆修正