01.孤独と閃光
「閃光のマリアンヌぅ?」
別にその名を聞いたのは今が初めてではないのに、思わず呟いていた。
「ついにぃ二つ名までついたか」
「は」
報告したナイトオブワンは是と答えた。
未だ姿を見たことのない庶民の出ながら、騎士候にまで上り詰めた女に私は珍しくも興味を持った。
その興味は今もまだ続く。
ブリタニアの戦女神ではないかとまで言われる女は初めてその頭角を現したその日から聞かぬ名ではない。
今回のエリア制圧に一役買ったのは事実であるだろうから戦女神と言うのも偽りではない。
だが二つ名は戦女神ではなく閃光。
それほどまでにその女の動きは素晴らしいのだろう。
前線で戦える将。肉体的に、知能的に人の上をいく女。
「面白い」
ふっといつもとは違う笑みで笑う私が珍しいのか、ナイトオブワンの表情がわずかに変化する。
だがそれはおそらく一瞬の出来事だろう。
気づいてしまったが、見なかったことにしてやろう。
この男はまだまだ使えるからな。
「シャルル・ジィ・ブリタニアがぁ命じる。閃光のマリアンヌの力を私に見せろぉ。―――相手は任せる」
「イエス・ユア・マジャスティ」
ナイトオブワンを下がらせ、まだ姿も知らぬ女に思いを馳せる。
未だ姿も見たことがないなどと―――不思議なものだ。
この想いが愛だとしても私は生涯それを誰にも悟られることはないだろう。
⇒あとがき
なんとなくパパのお話書いてました。
ちなみにこのナイトオブワンはビスマルクとは別人設定です。
20080509 カズイ
20080903 加筆修正