千里眼のゼロ

 その日のゼロはずっと何かを思案しているようだった。
 なんていうかトントンと机を指で叩いてるだけで無言なんだけど、何か考え事してるんだろうと思う。
 仮面越しだから誰を見てるのかは正直わからない。
 だけど気のせいかずっと扇さんを見ている気がする。

「ゼロ……どうかしたんですか?」
 よく言った!
 最近認め始めた紅の女の子……えっと、紅月さんだ!その紅月さんが言った。
 さすがゼロの騎士的存在!
「少し困ったことがあってな」
「困ったこと、ですか?」
 ぴくっと藤堂さんが反応した。
 え?なんでそこで反応するんですか藤堂さん。
 なんか無言でゼロを睨んでるし!
 ゼロも気づいてないし。
 だ、誰か……隣にいる俺が耐えられないっ!!
 なんでたまにここに座ったらこんなことに!?

「それが少々やっかいでね」
「私でよければお手伝いします!」
「残念だが男性に頼みたいのだよ」
「それでしたら私が」
「ブリタニア人ではダメだ」
 すぱっとディートハルトが即答で切られた。
 最近思うが、ディートハルトはキモイ。
 俺だけなのかと思って千葉さんに聞いたら、きっぱりと気色悪いと言った。
 それも鳥肌を押さえながら言っていたから、相当だ。
「……扇」
「俺か?」
「なに、ほんのちょっと経歴に傷がつくかもしれない程度だ」

 何をさせる気だ!?

 多分、そう思ったのは俺だけじゃないはずだ。
「玉城じゃだめか?」
「俺ぇ!?俺はヤダぜ!?」
「じゃあ……」
 扇さんが視線を巡らせた。

 全力で目をそらせ!

 だな。ゼロじゃないけど。
 俺も目を逸らした。
 男で、ブリタニア人じゃないって、俺もばっちり引っ掛かってるしね。

「俺か?」
 なんであんた反さないんですかぁ!!
 と、思わず隣を見た。
「ダメだ!」
 ゼロは強く言った。
 ……何故?
 藤堂さんも男で、ブリタニア人じゃないのに。

「扇」

 ちょいちょいとゼロが扇さんを手招きした。
 扇さんはびくびくしながらゼロへと近付き、何かを囁かれる。
 なんか"さ"って最後に聞こえたような気がする。
「な、なんでゼロがそれを!?」
「いや、たまたま目撃した人物が私の知り合いでね」
 きっとゼロはしてやったりという顔をしているのだろう。
 女か?
 扇さんが?
 うっわー、想像できねぇ。
「お前が何考えて接触したのかも言ってやろうか?この私が」
「うっ……」
「まったく……ちゃんと調べて手を回しておいた。今度騎士団(ここ)につれて来い。あそこに一人置いておくほうが危険だ。お前はあそこがゲットーだと言う自覚が足りないようだな」
「うっ」
 ああ、更に図星を突きまくってるんだろうな。
 意味はわかんないけど。
「さて、どう答えれば利巧か、理解したな?では、今すぐ手伝……ではないな、協力してくれ」
「な、なにを……」
「……それは後で話そう。朝比奈」
「は、はい」
 なんで俺?と思っていると、ゼロが耳元で言った。

「お前の経験値が少ないのはわかるが、セックスをするなら終わった後にもう少し相手を気遣ってやれ。千葉が可愛そうだ。年上の意地を尊重しないで少しはセックスの後も優しくしてやれ」
「ふえぇぇ!?」

 思わず赤面する俺に、ゼロは妖しくふふっと笑った。
 なんでバレてんの!?
 筒抜け!?筒抜けなの!?
 隣で聞こえてしまったらしい藤堂さんが、俺と目が合うと目を逸らした。

「……すまん」
「藤堂さぁん!!!」

 あんたって人はぁ!!!!



⇒あとがき
 微妙にギャグにしてみました。朝比奈は可愛いと思います☆
 最後の台詞は絶対赤面しながら叫んでます。あ、もちろん心の中で。
 朝比奈は千葉と藤堂さんの後をさん付けで名前を呼びながら追いかけていればいいと思います。
 そして朝比奈×千葉は朝比奈が年下であることを全力で望む!
20070419 カズイ
20080903 加筆修正
res

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