実体

「アリアのこと?」

 それはいつもの昼食風景。
 課題があるからと言う理由のナナセが不在なだけで、いつもの航宙科三人組と言うメンバーである。
 となれば上がる話題はこれだ。
「そうだ、結局俺たち事情を聞いてないじゃないか。なぁ、ルカ」
「ええ……でも一応アリア先輩が誰かは知ってるんですけど」
「何!?裏切り者め」
『きゃ、知られてた!』
 ミハエルと台詞が被りながら私は両手で頬を押さえて照れた振りをした。
「裏切り者って……だってアリア先輩って元総合技術科の天才少女でしょ?」
 ね、アルト先輩とルカくんがアルトに問うように話を振った。
「……天災の間違いだと思うけどな」
『失敬な!ちゃーんとスキップして中等部まで卒業してますぅ!』
「分かってるから耳元で叫ぶなよ、アリア」
「アリア先輩いるんですか?」
『いまーす』
「元気よく返事してるぜ。ったく、本当アリアの趣味わかんねぇ」
「ふふ、光栄ですアリア先輩」
「だから結局アリアさんってのは何者なんだよ」
 ミハエルがぶすっとした顔で私の話で盛り上がる二人の会話に横やりを入れる。
「アリアは俺の双子の姉。13の時に突然倒れて以来自称俺の守護霊を名乗る隊長の言葉を借りれば非常識娘だ」
「まぁ、規格外であることは確かですね。12の時にスキップして中等部まで卒業して、今は休学中と言うことになってますけど復学すれば僕たちと同じ学年ですし」
「それで大人っぽいと感じたのか……詐欺だ」
『詐欺!?恋に臆病な心だけはピュアボーイのミハエルにだけは言われたくないよ!?』
「っ」
 私の言葉にアルトがぱっと口を抑え、必死に笑いをこらえるようにミハエルから視線を逸らした。
「おい、なんで突然笑うんだよ姫」
「違っ、アリアが……くっ」
「……彼女がなにか失礼なことを言われたんだろうなってことは想像がつくよ」
「アリア先輩はその奇人っぷりでも有名でしたからねぇ……」
『そうなの?初耳だねぇ。ミハエルの身の汚れっぷりより有名なのかしら?』
 どうやらアルトのツボにはまったらしく、さっきより身をかがめて必死にこらえている。
「……で、ルカはどうしてそんなにアリアちゃんのこと詳しいんだ?」
『アリアちゃん!?私をアリアちゃんと言いましたか!?気色悪い!!』
 ギブギブとでも言うようにアルトが階段を叩く。
「アリアちゃんの声は聞こえないけどさ、俺をネタで遊ぶのはやめてくれないか?」
 ……ミハエル、本気で怒ってら。
 しょうがないな……

「遊んだつもりはないけど、そのアリアちゃんを止めてくれるなら許してあげるわよ」
「!?」
「この間のことで実体化と言うスキルを覚えてみました」
「で、できるんなら、もっと、早く、でて……ぷっ」
「……姫は抗議するか笑うかどっちかにしてくれないか?」
「く……あはははは、もうダメだ!」
「……そこで笑いを取るのか、姫は」
 がくっとミハエルは肩を落とす。
「だって私の双子の弟だもん」
 その辺りの教育はばっちりさ!
「何と言うか、隊長の気分が分かった気がするよ」
「オズマのは結構建前だよ。別にオズマがMだとは言わないけど、私のからかいを盾に甘えてるんだよ」
「そう、なのか?」



⇒あとがき
 ……ここまで書いておいてあれですが、入隊試験は翌日って設定で話進めても全然OKと言うかむしろその方が自然では?と思って書き辞めました。
 楽しかったんだけどなぁ……ふふ♪
20090122 カズイ
res

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