下着

「いやー!わ、私のパンツー!!」

 本当にもう何なんだ!
 アルトの代わりにシェリルとデートするはキスされるわ。
 ランカちゃんとフォルモで歌っちゃうわ、代わりにコンサート会場で歌っちゃうわ。
 今度はシェリルの代わりにパンツ盗られる!?もう嫌!!
 しかも……

「アリア姫のパンツ……」
「ごくって喉を鳴らすなー!」
「うわー!」
「おー!」
「追うなー!!」

 思わず涙目になりながら私はパンツを被ったバジュラの幼生と追いかけっこを始めた男子生徒の背に怒声を浴びせた。
 畜生!アルトそっくりの美少女顔に生まれるとロクなことないよ!
「アリアさん、大丈夫ですか?」
「ど、どうにかするっ。だからランカちゃんは自分のお仕事に行って!」
「でもパンツ……」
「時間でしょ!?駆け出しが遅刻しない!」
「は、はい!」
 この展開は私にEXギアを使えと、そう言うことなんだろうか。
 だけど流石にノーパンで制服はキツイ。
 一応制服をぱっと着たけど、走るなんて出来なくて早足に外に出た。
「おいアリア」
「シェリル!ど、どうしよう幼生にパンツ持ってかれちゃって……」
「妖精?……って、じゃあお前」
 視線をスカートへと落し、かぁっとシェリルの顔が赤くなる。
「いやー!言わないで!言うより先に取り返してよー!」
 思わずスカートを抑えながら叫べば、シェリルは何処かへと走り出す。
 ……あれ?これって本筋に戻った?
 助かったけど……やだ、下半身がスースーする。
 思わず涙が浮かぶ目を擦り、私はゆっくり歩を進める。
 シェリルがパンツを追いかけたということはしばらくノーパンで過ごさなくてはいけないのだ。
 シェリルはアルトに我儘を行って夕陽の浮かぶ空を飛行するのだろう。
 ……男同士だけど。
 ナナセはバイトがあると早々に帰ってしまっていたし、私はミハエルを探すことにした。
 生憎私は体育をお父さまに反対されて絶賛見学中で持っていないし、ミハエル辺りなら他の女子に声を掛けれそうだ。
 学生復帰したばかりの私には女の子の友達は残念ながらナナセと今日転校したばかりのランカちゃんしかいないのだ。
 替えのパンツはないとしても水着か体操服あたりでも借りれれば万々歳だ。
 でも当のミハエルがどこにいるかは残念ながら覚えていない。
 ルカの大事なサムソンが屋上から落下するのは覚えているから多分外なんだろう。

―――ガシャーンッ

 外へと出ようとした瞬間、空からサムソンが降ってきて思わず硬直してしまった。
 そして颯爽とEXギアを装着したアルトが空から降ってきたシェリルを救った。
「ひやひやさせるぜ、女王様もお姫様も」
「うっうっ……僕のサムソーン!」
 空をのんびりと見上げるミハエルと、サムソンの手を取り嘆くルカの姿に私はほっと胸を撫でおろした。
「やっと見つけたよ」
「あれ、アリアちゃん」
「アルトたちやっぱり戻ってこない?」
 空を見上げれば、シェリルが遠くを指さし、アルトはこちらではなくどこか遠くへと飛んで行っていた。
 本筋通りだ。
 あの手に握られているパンツがシェリルの物ではなく私の物だと言うことを除けば。
 ……後、シェリルが男だと言うことにも目を瞑る。
「私のパンツ……」
「え!?あれアリアちゃんのだったの!?」
「そうなんだよぅ」
 両手で顔を覆いながら嘆けば、ミハエルが慌てて私の背を撫でる。
「あの馬鹿二人駄目だ、絶対忘れてるよっ」
「かもしれないけど、落ち着こう?」
「だからミハエル、あんたの彼女を今すぐ紹介しなさい!」
 がしっとミハエルの制服を掴めば、ミハエルは「は?」と間抜けな顔をした。
「私女の子の友達、ナナセとランカちゃんしかいないのっ。体操服借りれないじゃない」
「俺のでよかったら貸すけど……嫌、かな?」
「うっ……男の子のはやっぱり……」
 遠慮させていただきたいっ。
「……何二人して赤くなってるんですか」
 嘆きながら、八つ当たりのようにルカくんがこっちを見て言った。
「大体アリア先輩、アルト先輩の体操服借りればいいじゃないですか」
「「あ!」」
「……いいですよね、二人は
「「ちょ、違……」」
 そこまでハモったところで、思わず二人で顔を見合わせた。
「……何この青春っぽい雰囲気っ、痒い!」
「え!?」
 ミハエルの顔が赤からショックな顔に変わっていた。



⇒あとがき
 よーし!今度こそミハエル!
 ……と思ったけどそうはいかないぜ☆なオチでした。
 勢いで書くと絶対こうなると思ってましたが、良いテンポで夢主が喋ってくれるので修正なし。
 たーのーしー!
20090728 カズイ
res

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