新しい先生
桜咲く4月。といっても実際散り始めてるけど。
俺、沢村栄純は高校2年生になりました。
今日は始業式とともに着任式が行われる。
ぼーっとステージの方を見てたら、周りの女子がそわそわしているのにも気付かなかった。
着任式が終わって教室に戻るとSHRが始まった。そういえば女子がイケメンの先生がいたとか帰り際に言っていたな。
とりあえずイケメンじゃなくてもいいから授業寝てても怒らない先生がどっかの教科についてくんねぇかな。数学とか数学とか数学とか。
(とりあえず早く野球したい)
またぼーっと窓の外を眺めて、まだ残る夏の悔しさを思い出していた。あんなに強い先輩でも行けなかった甲子園に、今年こそは。
「…むら!沢村!!」
「はひっ!?」
「ぼーっとすんな!新任の先生を紹介してるんだから」
え?あれ、そういやさっきから女子がうるさいな。これを黄色い声とか言うのか?
目を向けた先には、確かにイケメンだけれども、どこかうさんくさい眼鏡の男が立っていた。
「今日からこのクラスの副担になる御幸先生だ。担当は数学だ」
じゃあ自己紹介をと担任に促された御幸先生は一歩前に出た。新任の割にはすげぇ堂々としている。
「えー、今日からこのクラスの副担になります、御幸一也です。担当は数学です。一年間よろしくお願いします」
ぺこりと軽く頭を下げると、担任がなにか質問はないかと言ったらそれはもう女子が張り切る。
やれ彼女はいないのかとか、なんだよイケメンだからって!この世は不平等すぎるんじゃないか?
クラスの男子の大半がムッとしているのを余所に、御幸先生はへらりと答える。
(…うさんくせぇ)
とりあえず早くこの時間が終わるのを願った。
そしてわかったことは、御幸先生は昔ここで野球をしていて、プロにも誘いのかかった捕手だったこと。あと数学教師。眼鏡。うさんくさい。この世は不平等。エトセトラだ。
とにもかくにも、今は野球がしたくてたまらない。
end
野球バカ沢村(いつも
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