至福の時間







今日の御幸はなんだかおかしい。
いやどこがって言われたらわからないけど、なんとなく、元気ない?


スコアブックを眺めてた御幸が顔をあげてこちらを伺う。

「なんだよ、じっと見て。俺のことそんなに好き?」
「自意識過剰だな」
「あれ、なんか今日の沢村冷たい。俺傷ついちゃう〜」


…言葉と顔があってねぇよ。


あーでもほんと、何が変なんだろ。まぁこいつは元々へんだけど。


「さーわむら、そんな難しい顔すんなよ。どーした?」

そんな顔してたのか…いかんいかん。
そう思い眉間のシワを伸ばす。


「……御幸さぁ、なんか嫌なこととか、あった?」


そう訊ねると、御幸は少し驚いたような顔をして、それから困ったように笑った。

「まぁ嫌なことってのは語弊があるけど」
「え、なにがあったんだ!?」
「はっはっは!お前あわてすぎ」


そう言うと、大丈夫だからと言ってまたスコアブックに目を落とした。


不安になる。
弱音なんか聞いたことがない。その御幸が、言ってはないけれど、溢したのだ。
これはヤバイと思って余計に問いただす。

「だって言ったら沢村おこるじゃん?」
「は?なんで?」
「沢村のことだから?」



「…え?俺、なんかした?」


不安不安不安…。
なんだろう、俺何したんだろう…。


しばらく考えてみるも、心当たりがありすぎてわからない。
風呂上がりの御幸にキャッチボール付き合わせたから?
タメ語?俺が要求通りに投げれないから?


「沢村、言っとくけどお前がなんかした訳じゃねぇからな?」
「…じゃあなんだよ」
「そう半泣きになるなって」
「なってねぇ!」


図星を衝かれて慌てる。 御幸は困ったようで、眉を下げて苦笑い。
それを見てますます不安になる俺の頭を、御幸が優しく撫で付ける。


「…あのな?」
「うん…」
「俺も男だからさ、」
「うん…」
「したいわけよ、お前と」
「うん?…なにを?」
「ナニを」



















「ほらやっぱ沢村怒るじゃん!」
「うっさいこの変態メガネ!」


御幸が紅葉模様のついた頬を撫でているが、知ったこっちゃない。
人をさんざん不安にしといてそれかよ。
ほんとくだんねぇ!


「さわむらーごめんって」




「俺我慢するから、」
「しなくていい」
「え?」
「っ、だから!我慢すんなっていってんだよ!!二回も言わすな恥ずかしいんだよこんにゃろう!」


真っ赤な顔で喚くと、御幸は呆気に取られたようで固まっている。


「っ、御幸が!流れでしてくんないから、俺もいろいろ考えちゃって、は、恥ずかしくなって…!」



俺に拒否する隙を与えるな。考える前に思考ごともって行って欲しい。



そうじゃなきゃ、耐えられない。
あの切羽詰まったような顔や、胸を締め付けるような優しい笑顔に。



「お、俺は!俺だって、御幸としたいんだよ!わかれよばかっ!」



言い終わるより早く回された腕に、心臓が跳ね上がる。
どれだけ減らず口を叩いても、この距離にはまだ慣れない。


「沢村、俺今究極に我慢できない」
「だっ、だから!」
「うん、いただきます」
「えぇ!?ちょ、おわっ!」















「御幸、我慢しなくていいって、こーゆう意味じゃねぇんだけど…」
「だって溜まってたから」
「もうやだこいつ…」


さっきとはうってかわって、活き活きとした顔でこちらを見つめてくる。
どうやら満足したようだ。

とりあえず、その蕩けそうに甘い顔をやめて欲しい。心臓に悪いし、なによりこちらが恥ずかしくなる。


「沢村、好きだ」
「〜〜〜!もうわかったから!」
「じゃあもう一回は?」
「…殺す気か」


ありったけの凄みを効かせて睨んでやった。
人が腰の痛みに耐えてるのにこいつは…。


「はい、すいません…」


そうは言うものの、御幸は嬉しそうにくっついてきた。
そして当たり前のように俺の頭を撫でる。
恥ずかしいけど、情事の気だるさの中で、こうやって御幸によしよしされるのは、わりと好きだったりする。

あーきもちいーなー。

うとうとと眠くなってきた。目を開けているのがつらい。


「沢村?眠い?」
「…うん、眠い…。寝る…」「うん、おやすみ」



髪の毛を御幸がといてくれる。それがとても心地よかったから。




「みゆき…すきだ…」



逃げるように意識を手放した。





end


やっぱえっちかけない
めんどくさいし、表現に困るよー
まぁ読むのは好きなんだけどね(笑)
ちょっと沢村を男前にしてみた!こいよ、御幸。的な?


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